○両角委員
いよいよ二〇二〇大会開催まで八カ月余りとなりました。今回、突然の一方的なマラソン、競歩の会場変更があり、競技団体やアスリートにも動揺が見られるわけでありますが、限られた期間の中で各種競技の準備に万全を期していかなくてはなりません。
こうした中、実際の大会運営はもとより、ラストマイル運営や観客輸送など、実地で検証することのできる貴重な機会がテストイベントであります。特に今回は実際の大会同様の時期に開催をされ、暑さ対策の状況を検証することができる大変貴重な機会でもあったと思います。
そこで、テストイベントについて、まず伺いたいと思います。
今回のテストイベントは、夏の五輪同様の暑い時期に開催をされたことに大きな意義があると考えますが、そうした点を踏まえ、特にどのようなことに重点を置いた検証がなされ、都として総括的にどのような成果が得られたのか伺います。
○田中オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長
大会本番と同時期に行われたウエーブワンにおきましては、天候による影響が大きい屋外競技を中心に、暑さ対策を初めとして、シティキャストや医療救護、観客輸送など、会場外において都が担う役割について検証を行いました。
その結果、テントと送風機の組み合わせなど、観客への有効な暑さ対策や医療救護体制、炎天下におけるシティキャストの適切な活動時間、見やすくわかりやすい案内サイン、バスによる円滑な観客輸送確保など、ラストマイル運営や観客輸送についての具体的な検証結果が得られたところでございます。
こうした成果は、それぞれの運営に関するマニュアルや実施計画などに取り入れ、大会本番への取り組みに反映させてまいります。
○両角委員
続きまして、このテストイベントに関してのIOCの評価というものを伺いたいと思います。
五輪の主催者であるIOCは、まずマラソンを含め、今回のテストイベントの視察には訪れているのかどうか確認をさせていただきたいと思います。また、IOCは暑さ対策の取り組みについてどう評価していたのか伺います。
○川瀬オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長
組織委員会に確認したところ、これまでビーチバレーボール、ボート、ホッケー、トライアスロンなど十四テストイベントをIOCが視察したと聞いております。
なお、IOCは九月十五日のマラソンのテストイベントを視察しておりませんが、IAAF、国際陸上競技連盟からは、オリンピックのコース計測を行う技術役員が競技全般を通して視察し、高く評価をしていたと聞いております。
また、十月三日のIOC理事会後の記者会見では、バッハ会長は暑さ対策の問題について、解決する自信はある、東京が真剣に選手と観客の健康と安全を考えていることが理解できたとコメントしております。
○両角委員
今ご答弁いただきまして、テストイベントをIOCも幾つかもちろん視察されているということでありますが、マラソンのテストイベントには残念ながら来られていなかったと。しかし一方で、国際陸連は現地視察をしていただいて、競技運営を高く評価していたということでありました。
一方で、IOCは視察をしていなかったわけでありますが、バッハ会長のコメントでは、暑さ対策について高い評価もいただいていたようであり、そういったことを考えると、MGCの視察もすることなく、マラソンの会場変更を強行したというIOCの姿勢には、やはり疑問を感じざるを得ないということは一言申し上げておきたいと思います。
次に、ラストマイルの運営について伺いたいと思います。
開催都市としての都の役割は、主としてラストマイルの運営であるわけでありますが、都はラストマイルの各ルートに責任者を定め、体制を築いていくというふうに聞いておりますが、現状でどのような体制が構築できているのか伺います。また、テストイベントではどのようなやり方をしたのか伺います。
○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長
各ラストマイルには、現地において運営を総括する都職員を配置いたします。
総括業務としては、ラストマイルや競技会場運営の情報収集と都市オペレーションセンターへの報告、競技会場内外の連絡調整、観客への案内、おもてなしを行うシティキャストとの連絡調整、軽易な事案に対する意思決定などの取り組みを行います。
テストイベントにおきましては、都市オペレーションセンターの訓練として、各ラストマイルに都職員を配置し、メーンオペレーションセンター、輸送センターなど関係機関等との情報共有、連携に必要な体制の検証を行いました。検証結果を踏まえ、効果的な運営の体制につきまして今後検討してまいります。
○両角委員
この検証結果を踏まえて、今後体制については検討していくということであります。しっかりとした体制を築いていっていただければということでございます。
次に、暑さ対策について伺わせていただきたいんですが、二〇二〇大会で最大の準備と、そして配慮が求められるものの一つがやはり暑さ対策ではないかと、このように感じるわけであります。
我が会派では、これまでも医師会とも意見交換をするなどし、その意見も含めて、日よけ対策についてはさまざまに提案をしてきたところでございます。
今回、私もビーチバレーのテストイベントに参加をさせていただきました。当日大変暑い日でございまして、真夏の日差しと高温、高湿の中で、帽子、あるいは日焼けのUVカットのウエアも着ていたんですけれど、観客が集中する最寄り駅から競技場まで、さらには競技場での観戦も、厳しい暑さには十分な暑さ対策が必要だなということを改めて感じた次第でございます。
今回の報告書においては、ソフト対策のグッズや、ハード対策としてテントと送風機が暑さ指数の低減に効果を発揮したとあります。しかしながら、あくまでもソフト対策は補助的なものであり、またテントでの暑さ対策は有効ではあると思いますが、限界もあるのではないかな、このように感じるところでもあります。本番では最寄り駅から競技会場まで混雑が続くということが想定をされ、一層のラストマイル上のハードの対策が求められると思います。
そこで、例えばですが、設置型の樹木のようなもの等を工夫するなどして、何らか歩道上に日陰をつくっていくという取り組みを展開していくべきではないか、このように考えるわけでございますけれど、今後のラストマイルでの暑さ対策について見解を伺います。
○三浦オリンピック・パラリンピック準備局運営調整担当部長
屋外競技会場の観客は、ラストマイルや沿道、会場内で日差しや暑さに長時間さらされるため、日差しを防ぎ、水分を補給する休憩所は熱中症予防の観点からも重要でございます。
このため、ラストマイル上のハード対策といたしまして、今夏のテストイベントでは、お話のテントに送風機などを設置いたしまして、暑さ指数の測定を行いますとともに、ウオーターサーバーによる飲料水の提供なども試行しまして、さらにソフト対策として、体を冷やす、風を当てるグッズ等の配布も行い、使用感などのアンケートも実施したところでございます。
こうした検証の結果、会場までの距離が長いルートや、路上競技の沿道観客向けの日陰を創出するテントにつきまして、材質など仕様を定め、配置場所についての調整を進めており、実効性のあるソフト対策も組み合わせながら、来夏のラストマイルの暑さ対策を計画的に進めていきたいと考えております。
なお、お話にありました歩道上の新たな設置の樹木の配置でございますが、こちらは形状にもよりますが、ラストマイルの通行の問題、あるいは台風、強風等によります倒れるというような被害のリスクの問題も想定されるところでございます。それらの課題も踏まえまして、日陰をつくる取り組みにつきまして引き続き対策を検討してまいります。
○両角委員
今、ハード対策で提案させていただいたことについては課題もあるということでありますが、残された期間の中で、やはり暑さ対策、特に観客の皆さんがラストマイルを通行する中での日よけ対策というのは、そういった課題もクリアしながら総合的に考えていただきたいと、このように要望させていただきます。
引き続いて、案内について伺いたいと思います。
大会時には、まさに世界の各国からいろんな国々のお客様が競技会場に足を運ぶということになります。今回のテストイベントでは、本番のように多様な国からの来場者をお迎えするということはなかったわけでありますが、そうした意味では外国人対応についての検証は十分には行えなかったのかなというふうにも考えます。
そこで、諸外国からの訪日観戦者を念頭に伺いたいと思いますが、会場へのルートがすぐわかって、観戦する試合会場に迷いなく行くことができるということもラストマイルでは重要なことだと思います。
諸外国からの訪日客に対する案内表示やシティキャストの多言語対応については、今回のテストイベントでどのような課題が明らかになり、今後いかなる改善を図っていくつもりか伺います。
○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長
今回のテストイベントには、シティキャスト応募者のうち、ボランティアリーダー経験を有し、希望する延べ五十名程度の方々に会場最寄り駅や会場周辺における観客案内等を行っていただきました。
英語を話せる方には、イングリッシュと英語で記載したパスケースを首からかけ、国内外からの観客の案内を行っていただきましたが、パスケースが小さく、近寄らないと文字を読み取れませんでした。シティキャストには、英語を初め、さまざまな外国語スキルを有する方が多くおられることから、上着などに対応可能な言語を見えやすく表示するとともに、ラストマイルなど、スキルを生かせる場所で活動いただけるよう配置してまいります。
このほか、外国語に不安をお持ちの方でもご案内を行っていただけるよう、音声翻訳アプリを活用してまいります。
また、テストイベントのボランティアには、競技や会場名を日本語と英語で記載し、会場の方向を矢印で示したシートを持って活動いただきましたが、文字が多く、一目でわかりにくいとの意見をいただきました。
ラストマイルに設置する多言語の仮設案内サインにも競技や会場名、会場までの距離等を記載し、加えてピクトグラムを用いるなど、見やすく、わかりやすいデザインとしてまいります。
○両角委員
今回、シティキャスト五十人ほど延べで参加をしていただいたということで、課題も幾つか、表示の問題等々、明らかになったということでございますが、英語だけでなくて、英語を解しないという、例えば中文とか仏文とか、代表的な言葉には簡単なことは対応ができるようになっているのがいいだろうなと思いますし、その意味で、うまく音声翻訳アプリなんかも活用していただければありがたいなと、そんなふうに思っております。
引き続いて、ボランティアについて伺いたいと思います。
本年六月の本委員会で、我が会派の白戸委員より、シティキャストとフィールドキャスト、ともに大会を支えるボランティア同士の交流の場を提供すべきと問題提起をしているわけでございますが、そのとき答弁では、局から、研修の際にその機会を提供するという、そんなお答えがありました。
先ほどの報告の中でもボランティアの交流会を行ったとの説明もありましたが、その具体的な取り組みを伺います。
○小高オリンピック・パラリンピック準備局ボランティア担当部長
ボランティア同士の連携を促進して一体感を醸成し、参加機運を高めていくことは、活動の円滑化はもとより、大会後の活動継続につながる上でも重要でございます。
シティキャストの面談や研修では、参加者同士がコミュニケーションを深めるためのグループワークを行うとともに、シティキャストとフィールドキャストが仲間との情報交換を行える交流スペースを設置しました。また、先月にはチームワークづくりや仲間とのコミュニケーションに役立てていただくための交流会を開催いたしました。当日はシティキャスト、フィールドキャスト八十六名の参加を得て、講師のレクチャーのもと、グループワークやゲームを行いました。
参加者のうち九割以上の方から、有意義であり、また参加したいとの評価をいただくとともに、チームワークづくりのコツがわかった、リーダーになった際の参考になったなどの意見もいただきました。
今後、交流会を月一回程度実施するほか、今月中にはシティキャストの運営システムにおきまして情報交換を行える掲示板を設置し、ボランティアのネットワークづくりに向けた取り組みを進めてまいります。
○両角委員
ご答弁いただきまして、交流会を月一回実施していく、あるいは掲示板等を設置してボランティアのネットワークづくりに向けた取り組みをしていただけるということで、大変評価をしたいと思います。
このボランティアさん、組織委員会、あるいは都と参加の仕方は違っても、やはりボランティアに、この大会にかかわるという意味で、交流を持って情報交換をすることは大変有効なことだと思っておりますので、引き続き取り組みを推進していただきたいと、このように考えております。
次に、医療と救護の問題でございます。
炎天下での熱中症、あるいは不測のけがということが大会の期間中も想定をされるわけでございまして、こういった問題にしっかりと対応ができる体制を整えておくことは大変重要なことである、このように考えております。
今回のテストイベントでは、東京都医師会がご協力をしてくださり、救護所の運営がなされました。あるいは日赤が協力をしてくださって、DMATカーを出動させて、より実践的なシミュレーションができたというふうに聞いているわけでございます。
そこで、このテストイベント期間中に実際に救護や医療措置が必要となった案件の数とその状況、症状等、そして具体的な対応がどのようなものであったか伺います。
○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長
テストイベントにおけます救護対応として、ビーチバレーボールではコンテナ型の救護所を設置し、マラソンでは沿道等における観客の救護のため、東京DMATカーを活用した救護所を設置いたしました。
ビーチバレーボールにおきましては、救護所利用者は七名、そのうち熱中症疑いの患者は四名でございました。
なお、医療機関への搬送が必要な方はいませんでした。
マラソンにおきましては、救護所の利用者はいませんでした。
救護所を利用された方に対しては、医師、看護師が軽微なけがの応急手当てや水分補給、安静の指示などを行いました。
○両角委員
幸いマラソンにおいては、そういった医療措置が必要になった方はいらっしゃらなかったと。ビーチバレーにおいて熱中症の疑いのある方は四名出たということでありますから、炎天下の救護医療体制を整えていくということは重要なんだろうと思います。
そこで、今回のテストイベントを通じて見えてきた医療救護の課題は何なのかということを伺います。
本番では、より大勢の外国人が訪れてくださるということになろうかと思いますが、現場での外国人の方への対応について、今後、この医療面でどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長
テストイベントでの救護所利用実績を踏まえまして、大会時のラストマイルの距離や観客数、競技日程等を勘案いたしますと、熱中症疑いの患者が複数同時に発生することも想定されます。また、救護所におきましては、医療救護活動用資器材等の管理や患者記録の保管、COCとの連絡調整など、多岐にわたる事務的業務が必要となります。
これらのことを踏まえまして、適切な医療救護体制の構築に向けて、救護所の設置方法や事務職員の配置などについて検討してまいります。
海外からの来訪者に対しましては、わかりやすい救護所の表示を行うことに加えまして、外国語が話せるシティキャストによる案内、翻訳ツール、コミュニケーションボードの活用等を含め、適切に対応できるよう検討してまいります。
○両角委員
今回、実際にテストイベントで医療救護の対応を試してみてわかったということで、事務的業務が非常に多いんだということで、それ、収穫だと思いますね。そういうバックヤード的なものにも対応できる人材を配置するということでしょうし、今、またご答弁にもありましたように、本番のときは来場者が大変数が多いわけですから、熱中症の患者が複数同時発生するということがやっぱり危惧をされるわけでございます。
そういったことを考えると、この会場周辺の救護所だけでなくて、会場周辺のビルの部屋を借りるなどして、気分が悪くなった人の救護所として確保していくということは有効ではないかなと、そんなふうに考えるわけですが、見解を伺います。
○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長
ラストマイルにおきまして熱中症疑いなどの体調不良を生じた方には、なるべく早く涼しい場所で安静にしていただき、水分補給等を行っていただくことが重要でございます。
救護所につきましては、区市等の公共施設を含め、ラストマイル周辺の活用可能な既存施設を使用するほか、既存施設の確保が困難な場合には、仮設コンテナを使用することを検討しております。
○両角委員
ご答弁でラストマイル周辺の活用可能な既存施設を使用というお話がございました。今回、コンテナも有効なんですが、いかんせんキャパが小さいですから、もう二、三人でいっぱいになってしまう、対応ができないという状況になると思います。
ですので、ある程度大きな会議室等にエアコンをきかせて、水分も用意して対応ができるという、そんなふうなことをぜひ推し進めていただきたいと。既存施設、そういうものがあるかどうかということもありますけれど、それをしっかり調べて対応を進めていただきたいと、このように思います。
大会時に搬送先とされる医療機関では、通常の医療需要に加えて、そういった特別な医療需要が生じるということになるわけでありますが、関係医療機関への協力要請というのはどのようになっているんでしょうか。
○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長
ラストマイルにおきまして傷病者が発生した場合、比較的軽症な方は救護所において応急手当てや経過観察を行うほか、医療機関での診療が必要な方につきましては、近隣の医療機関の受診案内や、必要に応じて救急搬送を行う予定でございます。
このため昨年度、都と組織委員会から、都内の医療機関に対して、診療体制の確保や、大会期間中の患者受け入れにおける連携した対応等について協力を依頼したところでございます。
現在、東京都医師会や救急医療の専門家などからのご意見を伺いながら、通常の医療体制に影響を及ぼすことのないよう、ラストマイル等における医療救護体制につきまして検討を進めており、引き続き医療関係者と緊密に連携し、体制整備を行ってまいります。
○両角委員
今、協力依頼をされているということであります。情報をしっかり十分に提供していただくということが一番重要なことだと思います。大会の開催時には雨天であったり、好天であったり、地震、テロの発生ということも可能性としてはあるわけでございまして、こういった状況の中で発生する医療需要というのもあろうかと思いますので、そういったことも念頭に、万全を期すように要望させていただきたいと思います。
次に、アクセシビリティーについて伺いたいと思います。
大会の本番では、大変多くの観客の方々が競技会場に一斉に集まってくるということになります。そうした中で、障害をお持ちの方が安全で、かつ安心して来場し、観戦を楽しむようにできることが、これは非常に重要なことであると考えております。
そのためにも、本番を想定したテストイベントの際に、アクセシビリティーについて実践的に検証していくことが重要でありますが、ウエーブワンでの検証結果について伺います。
○越オリンピック・パラリンピック準備局パラリンピック部長
東京二〇二〇大会においては、会場へのアクセスルートとなる経路のうち、アクセシビリティーに配慮が必要な観客の動線として、アクセシブルルートを選定しております。
海の森水上競技場で実施された世界ボートジュニア選手権を活用したテストイベントの際に障害のある方にご参加いただき、最寄り駅から会場までのアクセシブルルート並びに会場内の動線など、アクセシビリティーの検証を行い、ご意見を頂戴いたしました。
車椅子使用の方からは、ルート上におけるケーブル等の仮設設置物を円滑に越えられるようスロープ板を設置してほしいなどのご意見をいただきました。
また、視覚に障害のある方からは、駅構内の改札及びエスカレーターなどのルートの分岐点のほか、交差点などの危険箇所及び休憩所等において、ボランティアによる声かけがあるとよいなどのご意見をいただいたところでございます。
さらに、聴覚に障害のある方からは、視覚でわかる案内サインをルート上に設置してほしいなどのご意見をいただきました。
障害当事者の方からいただきましたこうしたご意見を十分に踏まえながら、今後のテストイベントにおいても大会本番を見据え、さまざまな想定のもとアクセシビリティーの検証を行い、障害のある方が安全・安心に大会を楽しんでいただけるよう準備を進めてまいります。
○両角委員
車椅子や、あるいは視覚、聴覚にそれぞれ違う障害をお持ちの方の直接の意見を今回、参加していただいて、伺ったということは大変今後の参考になるんだろうと、このように思っております。
一方で、競技会場によっては、アクセシブルルート、一般のお客さんのルートとかぶる部分も結構あるんだろうと。そうすると、混雑した中で、その設定したルートから完全に独立したルートまでの部分というのは結構注意が必要なんだろうと思いますので、そうした対応についても今後検討して、問題がないように万全を期していただきたいと、このように要望させていただきたいと思います。
次に、都市オペレーションセンターについて伺いたいと思います。
ラストマイル運営や組織委員会との連携のかなめともなる都市オペレーションセンターでありますが、特に今回は情報収集、あるいは情報共有と情報の発信方法の検証に視点を置いたというふうに聞いております。
スケジュールが急に変更する、あるいは交通機関が乱れたなどといったことで突発的な状況変化への対応をする、対応をすることで情報共有の重要性とともに課題も浮き上がってきたようでありますが、各関係者間でのリアルタイムでの情報共有について、今後の具体的な取り組みを伺います。
○末村オリンピック・パラリンピック準備局運営担当部長
テストイベントにおきましては、観客の安全な誘導や組織委員会との連携に必要となる大会運営、交通、気象等の情報の収集、共有、発信方法の検証を行いました。
具体的には、ICTツールを活用したリアルタイムでの情報共有や、事案管理などの連絡体制、現場とCOC本部、メーンオペレーションセンターとの連携等につきまして検証を行いました。
訓練の結果、観客の滞留や傷病者の発生などの事案が同時に発生した際、事案に迅速に対応するためには、COC本部と現場がリアルタイムに必要な情報を共有する一方で、過剰な情報による混乱を招かないよう、情報を選別することが重要であるということがわかりました。
今後の対応といたしまして、本部等が必要とする情報をあらかじめ明確化し、現場が本部に報告する際、重要な情報を効果的に選別することで迅速かつ機動的な体制を確保してまいります。
また、ICTツール等に加えまして、電話や無線等で補完するなど、必要な情報を確実に伝達する運用の工夫を行いまして、マニュアル等に反映させてまいります。
今後のテストイベント等の機会を活用し、円滑な運営方法について継続的に検証を行いながら、大会における取り組みに反映させてまいります。
○両角委員
検証をしたことによって課題が幾つか明らかになったということでありまして、特に情報の取捨選択をしてセンターへ上げると。どこまでの情報を上げるのかということをしっかり選別する必要があるという、そんなお話でございました。
そういった把握ができた事柄についてマニュアル等に反映をさせるということなんですが、実際の職員の方がそれを実際に対応できないと何にもならないので、情報の扱いについてはきちっと徹底して、今後現場で適切な情報が適切に共有されて、適切な対処ができるという体制を築いていただけるようにお願いいたします。
ここまでこのテストイベントの機会を活用した検証ということで伺ってまいりましたが、今回のウエーブワンでの検証を踏まえて、今後もテストイベントを重ねて検証を積み重ねることが重要であろうと、このように考えます。
暑さ対策でも聖火リレーなど機運醸成でも、あるいはセキュリティーや輸送などの面でも、5Gを含めた新たな技術の活用や施設整備など、取り組むべき課題は山積をしております。こうした課題にしっかりと対処していくためには、必要な予算も確保して、着実に大会準備を進めていくことが重要であると思いますが、今後の大会準備に向けた局長の決意を伺います。
○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長
この夏のテストイベント、ウエーブワンは、大会本番と同様の気候条件において、庁内の関係各局はもとより、東京都医師会や日本赤十字社など関係機関のご協力も得て、暑さ対策を初め、ラストマイル運営や観客輸送など実践的な試行、検証を積み重ねてまいりました。
今後続くウエーブツー、スリーにおいては、屋内競技が中心となり、新規施設の完成を初めとした大会準備の進展に伴いまして、より本番を意識した実践的な検証を行っていきたいと考えております。
例えば大会時におけます運営体制や情報共有するためのシステムなど、大会時に近い環境での検証や、さまざまな言語圏の外国人や、聴覚障害など情報提供に配慮が必要な観客の方への文字情報の提供方法の検証、あるいは地震等の災害を想定した訓練など、より具体的な課題を明確にした検証も実施してまいります。
これらウエーブワンからスリーまでの検証を通じて得られた課題はもとより、今お話ございました機運醸成や輸送、セキュリティー、新たな技術の活用など、大会に向けた重要な課題について適切に対応できるよう、関係局と連携してしっかりと取り組むとともに、組織委員会や国など関係機関との緊密な連携体制を構築しまして、大会を成功に導いていきたい、かように考えております。
○両角委員
ありがとうございます。これからはより実践を意識した検証のステージに移っていくというお話がございました。今回のマラソンの変更に見るように、いろんなことが起きてくるわけでありますけれど、限られた期間、都の職員の皆さんもなかなか大変なところが多いと思いますが、しっかりと大会成功に向けた準備を進めていただきますよう、ここで再度お願いを申し上げたいと思いますし、私たち都民ファーストの会も議会の立場から精いっぱい背中を押して、その取り組みを応援してまいりたいと、このように申し上げておきます。
引き続きまして、東京二〇二〇大会開催時における都庁発注工事の調整に関する取組方針の策定について伺わせていただきたいと思います。
都はこれまで、二〇二〇大会時の交通混雑緩和に向けて交通需要マネジメントを推進し、企業等に対し働きかけを行ってきております。TDMを進める上で工事調整の取り組みというのは非常に重要であろうと我々は認識しているところでもあります。
我が会派では、本年八月に工事調整による影響を心配している企業等の不安を解消し、企業からの協力を得られるよう要望を行ったところでもございます。第三回定例会の代表質問において、東京都の発注工事の調整により、工事の一時中止等に係る費用負担などについての質問を行いました。
そこで、今回更新した取り組み方針には、これらの内容はどのように盛り込まれたのか改めて伺います。
○佐久間オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長
大会期間中の交通混雑緩和を図る上では、工事調整を進め、路上工事によるボトルネックを回避するとともに、工事から発生する車両を削減することが重要でございます。
このため、四月に都庁発注工事の取り組み方針を作成し、今般この夏の試行結果や会場周辺交通対策の取りまとめ、業界団体などの意見などを踏まえて更新いたしました。ご質問の工事一時中止等に係る費用負担につきましては、今回更新した方針におきまして、大会に起因した工事調整にかかわる経費、工期は適切に見積もることを明記しました。
具体的には、契約済みの工事で対象期間に工期が重なる工事につきましては、契約約款に基づき、工事調整にかかわる経費、工期は設計変更で適切に対応することとしました。
また、今後発注する工事では、発注時に工事調整の取り組みを特記仕様書で明記し、工期等を適切に設定するとともに、必要な経費は基準等に基づき適切に積算することといたしました。
○両角委員
業界団体等のご意見を踏まえて更新されたこの取り組み方針でございますけれど、設計変更等で適切に対応していくということで、我々の要望をしっかりと受けとめていただいたということを評価させていただきたいと思います。
ところで、工事の調整の取り組みを進めるには、この更新をした方針を定めただけでなくて、広く知っていただくということが大切だと思います。その上で工事の受注者に協力、実践をしていただく、こういう段取りになろうかと思います。
そこで、今後、受注者等の工事関係者に対しまして、この改正をしました方針についてどのようにわかりやすく周知をしていくのか、この点について伺います。
○佐久間オリンピック・パラリンピック準備局輸送担当部長
工事調整のためには、工事関係者の理解と協力をいただくことが重要であり、大会期間中に取り組んでいただきたい工事調整の内容を盛り込んだわかりやすいチラシを作成し、業界団体を通じて協力の依頼を行っております。
また、都などの工事関係の窓口でチラシを配布するとともに、二〇二〇TDM推進プロジェクトのホームページに工事調整に関する項目を新たに掲載いたしました。既に契約している都発注工事につきましては、各局で今回更新した取り組み方針を丁寧に説明し、受注者と協議の上、具体的な取り組みを実施していくこととしております。
引き続きわかりやすい情報提供などを行い、工事関係者の理解と協力をいただきながら、大会輸送と経済活動の両立に努めてまいります。
○両角委員
わかりやすいチラシを作成もしていただいて、業界団体に協力依頼をする、あるいはホームページもアップをしていくということでございまして、それはしっかりやっていただきたいと思います。
一方で、業界団体の方にチラシを見てというだけではなくて、必要に応じて説明をする、あるいは問い合わせにしっかり答えていただくような、そんな答えられる体制を内部にしっかり対応していただけるようにお願いしたいと思います。
引き続きまして、パラリンピックの聖火リレーについて伺いたいと思います。
パラリンピックの聖火リレーは、八月十三日から八月二十五日までの十三日間行われます。そのうち東京都内は八月二十一日の金曜日から二十五日の最終日までの五日間ということになっているわけでございます。
一方で、百二十一日間をかけて日本全国をめぐるオリンピックの聖火リレーと比較をしますと、日数も規模も大きく異なるわけでございます。しかし、パラリンピックの聖火リレーにはオリンピック聖火リレーにはない目的や役割があると、このように理解をしております。
本日、パラリンピック聖火リレーの実施概要について報告があったわけでございますが、オリンピック聖火リレーと比べて、パラリンピック聖火リレーの都民の認知度は低いと感じるわけでございます。改めてパラリンピック聖火リレーの実施の意義と概要について伺います。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長
東京二〇二〇パラリンピック聖火リレーには、オリンピックの熱気や興奮をパラリンピック大会につなげていく目的に加え、二〇二〇大会を契機に共生社会を実現することを目指しております。
そのためルートにつきましては、組織委員会からパラリンピックならではの場所や、人と人との新たな出会いが生み出せる場所、共生社会の実現に資する場所などをめぐるルートとなるよう、選定に当たっての基本的な考え方が示されているところでございます。
また、パラリンピック聖火リレーのランナーは、原則として初めて出会う三人がチームとなってリレーを行うこととされておりまして、年内には選考基準や選考方法が組織委員会から示されることになっております。今後こうした考え方をもとにルートやランナー選定を進め、共生社会の実現に資する聖火リレーとなるよう取り組んでまいります。
○両角委員
パラリンピックの聖火リレーの意義というのをお話しいただいたところでございます。この選考基準も初めて出会う三人、どきどきしていいんじゃないかなと、こんなふうにも思うわけでございますけれど、パラリンピックの聖火リレーについては、オリンピック大会の盛り上がりをパラリンピック大会へつなげていくという非常に大きな役割があると、私はこのように思っております。
都では、組織委員会から示されたルート選定の、今お話をいただいた基本的な考えのもと、それでは、どのようなリレールートを作成するつもりか伺いたいと思います。
○小池オリンピック・パラリンピック準備局自治体調整担当部長
東京二〇二〇パラリンピック聖火リレーのルートは、パラリンピック聖火リレーのコンセプトを踏まえまして、多くの方々に観覧していただき、人々に勇気や希望を与えられることが必要でございます。
都内では、五日間開催されるうち、初日は東京都の火としてリレーを行い、全国集火式を実施した翌日からの四日間は、全国の統合された火として象徴的な場所をめぐることになります。
具体的には、東京の観光地などに加えまして、リハビリテーション施設や障害者支援施設、パラリンピックと親和性のあるスポーツ施設などをめぐるルートや聖火ビジットを想定してございます。
今後、組織委員会が示す基本的考え方や区市町村からの情報も参考にしながら、都内全体で来るパラリンピック大会への盛り上げや、共生社会の実現につながるようなルートを実行委員会で検討してまいります。
○両角委員
パラリンピックの成功なくして二〇二〇大会の成功はありません。そのため、パラリンピック聖火リレーを通して大会開会に向けた機運を盛り上げ、二回目の東京パラリンピックにつなげていかなくてはならない、このように考えております。東京二〇二〇パラリンピック聖火リレーが共生社会としてのダイバーシティー東京の実現に資するよう、市区町村を初め関係機関と緊密に連携しながら、着実に準備を進めていただきますよう要望をいたします。
以上、何項目かにわたりまして質問をさせていただいてまいりましたが、最後に、二〇二〇大会成功に向けて、一言付言をさせていただきたいと思います。
マラソン、競歩の札幌開催に伴い、東京都、そして都民には直接的、間接的、あるいは物質的、精神的、これまでに費やしてきた費用、そして本来であれば得られたはずの費用など、多種多様な費目について大きな損害が生じております。当然、相手方のある交渉ですので、都は合意内容に従い、そのうちIOCが負担すべきものをしっかり補償請求しなければならず、現在も都の方で精査中と理解をしております。
改めていうまでもなく、東京都の支出の原資は、都民からお預かりをしております税金です。都民の利益を最大限確保する観点から、IOCからの補償額が最大限確保されるように都はIOCと折衝しなければならず、そのためにはあり得る損害の範囲を広範に検討の俎上にのせた上で精査する必要があると考えます。
もし仮に損害の範囲を必要以上に限定的に捉えたり、また実際の経費のごく一部だけを取り上げ、あたかもそれだけしか損害が発生していないような主張を行うことで、まるで東京都、そして都民には大して損害は生じていないというご見識をお持ちの会派があるのであれば、それこそ誤ったものであり、都民の代表として都政を預かる都議会議員の姿勢として、果たして適切かどうか大いに疑問があると指摘をさせていただきます。
繰り返しとなりますが、私たちの最大の目標は東京二〇二〇大会の成功です。大会の成功のためには今回のような事態を二度と生じさせてはなりません。そのためには本件の原因を徹底的に究明し、再発防止策を講じることが必須です。
先週八日の我が会派の質疑を通して、森会長を含め組織委員会の業務や組織のあり方に関し、多くの疑問点が浮かび上がりました。それらを明らかにして再発防止を講じ、東京二〇二〇大会を成功に導くため、組織委員会の幹部、とりわけ森会長の参考人招致が必要と考えておりますので、各会派のご理解、ご賛同をよろしく申し上げ、私の質問を終わります。