○両角委員
私からは、大きい項目で三つほどお伺いをさせていただきたいと思いますが、まず一点目は都市計画道路についてでございます。
いうまでもなく、都市計画道路は最も重要な社会インフラの一つであります。そうした中で、東京都におきましては、一昨年の三月に、東京都における都市計画道路整備方針、いわゆる第四次事業化計画を発表されました。
そこで、この事業化計画に関連をして、まず都県間の路線整備でございますが、都県間の路線整備にはもろもろ課題もあると思いますが、この都県間の路線の現状と取り組みを伺います。
○荒井都市基盤部長
都県境を越えた道路ネットワークの形成は、近隣県との交流、連携を図るためにも重要であり、また、災害時における広域的な救援救護活動や、円滑な物資輸送にも不可欠でございます。
平成二十八年三月に策定した都市計画道路の整備方針では、隣接県市と調整の上、都県間にまたがる十五の都市計画道路を優先整備路線に選定し、このうち、所沢と清瀬とを結ぶ東村山三・四・一五の二号線など三路線を事業化しております。
また、隣接する関係自治体と協議して、都県をつなぐ四カ所についても新たな都市計画道路として検討することとしており、このうち南多摩尾根幹線と相模原、橋本方面を結ぶ町田三・三・五〇号線など、二路線の都市計画を決定しております。
こうした道路の整備により、広域的な交流、連携を図る都県境ネットワークを充実させ、東京圏全体の活発な都市活動を実現してまいります。
○両角委員
都県をつなぐ広域ネットワークは重要性も高いわけでございますので、計画段階も整備段階も都県で十分な連携を進めていただきたいと、このように思います。
引き続きまして、本年七月に東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針の中間のまとめが発表されました。これについて何点かにわたって質問させていただきたいと思います。
まず最初でございますが、このタイミングで新たな視点で都計道の見直しを進めることとした理由と背景をお聞かせいただきたいと思います。
○荒井都市基盤部長
現行の事業化計画に基づき事業を進めることで、今後、おおむね二十年で都市計画道路全体のネットワークの約八割が完成いたします。その一方で、残る計画は完成までになお時間を要することになります。
このため、整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直すとの基本的な考え方に立った上で、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路を対象とし、既に必要な交通機能等が確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性等、新たな検証項目を設けて、都市計画道路のあり方について検討を行うこととしたものでございます。
○両角委員
ありがとうございます。中間のまとめにつきましては、七月に発表された後に、パブリックコメントに付されているわけでございますが、このパブコメも終了していると思います。
そこで、パブリックコメントの状況と、寄せられた主な意見はどのようなものであったか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長
パブリックコメントは、平成三十年七月九日から八月十日までの三十三日間実施し、約二百七十通の意見が寄せられました。
主な意見としては、検討対象についてや具体的な検証項目についてなどがあり、現在、意見の内容について整理、取りまとめを行っているところでございます。
○両角委員
今回の検討につきましては、優先整備路線として選定をされなかった未着手の幹線道路が対象ということでありますが、幹線道路以外の路線も存廃の判断が必要なのではないかと思いますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長
今回のあり方検討におきましては、優先整備路線として選定されなかった未着手の都市計画道路のうち、都市のまとまった交通を受け持ち、骨格を形成する道路である幹線街路を対象としております。
日常生活に密着した道路である区画街路等については対象としていないところでございます。
○両角委員
幹線道路でほとんど、九割八分ぐらいですか、カバーができるということで伺っておりますが、幹線外についても検討が必要ではないかなというふうに思ってもおります。
続きまして、この中間のまとめの以降に、今後は個別の路線をどうするかという検討に入っていくわけでございますが、その個別検討に当たりましては、都及び特別区、市町の役割と連携はどのように考えているのか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長
東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針策定に当たり、都と特別区及び二十六市二町は策定検討会議を設置し、協働で調査検討を進めてまいりました。
個別路線の検討に当たっては、幹線街路を広域的な道路と地域的な道路に分け、都が広域的な道路、区市町が地域的な道路を検討することを基本として、都と区市町が連携しながら協働で検討を進めております。
○両角委員
広域的な道路と地域的な道路ということで役割分担をし、さらに連携をしていくということでございますが、そこで、スケジュールでいうと、平成三十年度末にこの基本方針が具体的に定まっていくということでありますが、三十年度末に策定予定の基本方針には、具体的な廃止路線が書き込まれるということでよろしいのかどうか伺いたいと思います。
また、基本方針策定後、どのようなスケジュールで取り組みが進んでいくのか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長
今後、個々の路線を対象として、計画存続か、計画変更かの検証を実施して、計画変更等の対応方針を基本方針で示してまいります。
基本方針を示した後は、必要に応じて路線ごとに都市計画変更手続を行ってまいります。
○両角委員
最終的に廃止すべき路線がしっかり示されるというふうに理解をさせていただきました。
都市計画道路の質問の最後になりますけれど、今、都市計画道路、都市計画決定をされてからもう何十年も、半世紀以上たつような路線が大半なわけでございますが、そうした中で、計画をされて未着手の都市計画道路の中には、地域ニーズが低いという路線もあると思います。こうした地域ニーズという視点をどのように整理をしていくのかという点について伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長
都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支えて、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
人口減少の時代にあっても、将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、個性的で活力のある地域づくりなどを支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、計画的、効率的に整備を進めるために、優先的に取り組む路線を示す一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、適宜、計画の見直しも行ってまいりました。
今後とも、見直すべきものは見直す一方で、地元の理解と協力を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
○両角委員
見直すべきものは見直して、着実に進めていくということでございますが、都市計画道路については、計画論の視点から必要性、効果を見定めて計画をされているというふうに理解をしております。
一方で、地域ニーズという視点は、ちょっと計画論からは外れるわけではございますが、しかしそれも重要な要素だと思いますので、何らかの形で加味していただけるような、そんな方策の検討をお願いしたいと思います。
いずれにせよ、こういった今回の見直しというようなことは重要なことだと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
引き続きまして、通勤混雑緩和について何点かにわたって伺いたいと思います。
まず初めに、通勤混雑緩和政策の東京都における位置づけということで伺いたいと思います。
通勤混雑緩和は、現知事、小池知事が主要な選挙公約に掲げたものでありますが、都政の中での政策の位置づけというのはどのようになっているのか伺いたいと思います。
また、現知事が就任以前と就任後、当該政策への取り組みはどのように違ってきているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○荒井都市基盤部長
満員電車の混雑緩和は、社会の生産性を向上するために重要であり、官民が連携して解決していくべき課題でございます。
小池知事就任後、東京の未来への航路として二〇二〇年に向けた実行プランを策定し、快適通勤に向けた取り組みの推進を政策目標の一つとして掲げ、ハード施策に加えて新たにソフト施策について示しました。
また、二〇四〇年代を目指した都市づくりのグランドデザインでは、鉄道のピーク時の混雑を解消することを将来目指すべき姿の一つとして示しました。
平成二十九年度には、通勤時の混雑回避のため、オフピーク通勤を促進する時差ビズを立ち上げ、国や鉄道事業者、広く民間企業とも連携し、取り組みを進めております。
また、平成三十年度からは、快適通勤の担当を設け、体制を強化しております。
今後とも、鉄道の混雑緩和を進め、快適な通勤環境を創出するため、ハード対策に加え、時差ビズなどソフト対策も進め、相乗的に効果を上げてまいります。
○両角委員
東京都の幾つかのプランにも位置づけをして、そして所管を都市整備局に設けていただいて、今、取り組みを進められているということであります。
私は、この政策は非常に重要なものだと思います。知事が掲げているからという意味だけではなくて、これはやっぱりニーズに合っているというか、まさに都民が必要としている政策ではないかと思っていまして、この政策をしっかり組織として前進をさせていくことが重要であるということを改めてお訴えをさせていただきたいと思います。
続いて、通勤混雑緩和の中で、時差ビズについて何点かにわたって伺わせていただきたいと思います。
時差ビズの事業の検証についてでありますが、この検証は現時点でどのようなことをしているのか、さらに今後の検証の進め方について伺います。
○荒井都市基盤部長
時差ビズの検証につきましては、参加企業の業種や従業員規模、利用駅など基礎的な情報の分析を行うとともに、参加した企業と企業の従業員に対するアンケート調査、鉄道を利用して通勤する人に対する認知度調査などを行っております。
また、参加企業の多い駅などについて、改札データを分析し、ピーク時の混雑の分散状況を確認しております。
引き続き、このようなアンケート調査及び駅改札データの分析を行いながら、さらに有効な効果検証の方策も検討してまいります。
○両角委員
ありがとうございます。いろいろ検証もされているということはわかりました。
それで、東京都はまさに、もう二年を経ずして東京二〇二〇大会を迎えるわけであります。いうまでもなく、二〇二〇大会期間中は内外から大勢の方々が東京にいらっしゃる。通常の通勤通学にプラスして、そういった方々の鉄道のニーズも高まるということで、交通需要のマネジメントが非常に重要になるのではないかというふうに私は考えております。
そこで、一点目は、これまでの具体的な成果と課題を伺いたいと思いますし、あわせて、来年度事業等、東京二〇二〇大会に向けた今後の展開を伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長
昨年度のアンケート調査では、時差ビズの認知度は七割を超えております。参加した約六割の方が、通勤時の快適性、仕事の効率性、プライベートの充実について効果を実感したと回答しております。
参加企業の多い駅での改札データの分析では、一部の駅でピーク時間帯の前後に混雑が分散する傾向が見られました。
また、今年度夏の時差ビズの参加企業数は、昨年夏の約三百二十社から約二・五倍となる八百社に達しました。さらに、実際に企業で時差出勤やテレワークに取り組んだ方は十八万人程度と、昨年夏の六万人程度から約三倍増加したとアンケートからは推計でき、着実に成果を上げていると考えております。
今後、ムーブメントの輪をさらに広げ、時差ビズをライフスタイルとして定着させてまいります。
そのため、今年度は冬にも新たに取り組み期間を設け、目標としている千社の参加を目指して取り組みを進めていきます。
また、東京二〇二〇大会時に向けて、交通需要マネジメントの取り組みの一つとして、大会時の円滑な輸送と企業活動の両立に向け、混雑が予想される駅や競技会場付近の企業へ重点的に時差ビズへの参加を呼びかけてまいります。
○両角委員
参加企業も八百社ということで、かなり定着をしてきて、効果も出ているんだということで理解をさせていただきました。
また、二〇二〇大会時には、交通混雑緩和策、時差ビズ等が交通マネジメント施策の一端を担うということにもなると思いますので、引き続き、組織委員会やオリ・パラ局等々と連携をしていっていただきたいなというふうに感じました。
今伺ったように、時差ビズは都市整備局の方で取り組みをされて、そして、一定の定着をして効果も発揮しているということで、評価をさせていただくものでありますが、通勤混雑緩和の政策の中では一つのメニューです。
今、通勤混雑緩和のソフトメニューというのは、時差ビズオンリーワンの、ナンバーワンのオンリーワンで、単一メニューということになっているわけでございまして、さきの一般質問でもちょっとお話をしましたが、時差ビズ一辺倒だけでもう、通勤混雑緩和の効果を出すには限界があるだろうと、そんなふうに感じているわけでございます。
そこで、さきの一般質問では、定期券の運賃の時間帯による利用状況によって弾力化をするですとか、あるいは時差ビズに協力をしてくれる企業に、インセンティブを東京都の政策を導入して与えるとか、他局とも連携をして政策メニューを多様化していくということをお訴えをさせていただいたわけでありますが、他局とも連携をした政策メニューの多様化ということについて、どのような内部検討が進められているのか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長
時差ビズの展開に当たりましては、ポスターや動画などを用いた広報展開に加えて、鉄道利用者がオフピーク通勤へ取り組む意欲を引き出すことが重要であります。
今年度の夏の時差ビズでは、鉄道事業者によるオフピーク通勤者へのポイントの付与などに加えて、混雑の見える化など情報の提供による鉄道利用者の誘導、早朝時間帯の臨時列車の増発も実施していただきました。
引き続き、鉄道事業者において、それぞれの路線の混雑状況や混雑緩和への取り組みの方針なども踏まえ、インセンティブとなる方策を検討していただき、都としてもその取り組みを発信、周知いたします。
また、テレワークの推進など他局の取り組みとも一層連携し、さらなる展開につなげていきたいと考えております。
○両角委員
他局とも取り組みを連携して、さらなる展開につなげていくという意欲を示していただいたわけでございます。
そもそも通勤混雑緩和という政策、知事が選挙時に公約として訴えて、それが出てきて、行政の中で政策化して実際に進めていくといったときに、何をやろうかと大変困ったのではないかなと思います。
ハード面は今までも取り組んでいることがある、じゃソフトは何をするのか。そこで時差ビズということができて、今、取り組みをされているわけでありますが、当初、通勤混雑緩和を考えるに当たって、関係局が集まって会議をやったというふうに伺ったんですが、そのときには担当の副知事がその場に出席をしてきたというふうにも聞いております。
今、実際に都市整備局の交通企画課が担当になって、一生懸命やられていますけれど、どこまで局全体の、部全体のバックアップがあるのかなというと、それはバックアップはあるんでしょうが、担当課が一生懸命、ひいひいいって頑張っているような感じもなきにしもあらず、あるいは、今、他局がどこまで絡んで、巻き込まれて一緒にやっているのかなというと、今、副知事が出てくるような局面もないでしょうし、局長クラスの皆さんが出てくるようなこともないのではないでしょうか。
ということで、この政策が重要なものというふうに認識をしていただくのであれば、他局をもう少し巻き込んだ、例えば時間を、期限を決めて、タスクフォースを組むとか、あるいは連携体制をつくっていくとか、そういうことも考えていただきたいなと、こんなふうに思っておりますので、ぜひ都市整備局の担当の部長さん、あるいは局長さんから他局へも呼びかけていただきたいと。政策企画局なんて、本来入らなきゃいけないんじゃないですかね。そんなふうに思います。
次に、最後になりますが、これは局長に伺いたいと思います。
今お話をした交通混雑緩和の推進体制は、関係局との連携体制を整え、オール都庁として取り組むべきと思いますが、局長の見解を伺います。
また、あわせまして、通勤混雑緩和の取り組みについては、一過性のイベントとしないでいただきたいんですね。ぜひ継続的にこの施策展開をしていっていただきたいと思いますが、局長の見解と決意を伺います。
○佐藤都市整備局長
鉄道の混雑緩和につきましては、都内だけではなく、東京都市圏全体の交通政策の根幹でございまして、これまでも取り組んでまいりました。その中で、働き方改革にも大きくかかわっているというふうに考えてございます。
したがいまして、交通局、産業労働局、総務局、オリンピック・パラリンピック準備局など関係局と密接に連携しまして、快適通勤の実現、働き方改革に全庁で取り組んでいるというところでございます。
昨年度立ち上げた時差ビズも、二年目となることしの夏には、参加企業が、先ほどお話ししたとおり昨年の二・五倍、八百社を超えるなど、確実に成果を上げてございます。
さらに多くの方々の共感を得て、このムーブメントの輪を広げ、時差ビズをライフスタイルとして定着させていくということを目指してまいります。
引き続き、関係各局とこれまで以上に連携し、快適通勤に資する施策のさらなる展開につなげてまいりたいと存じます。
○両角委員
ありがとうございます。関係各局ともこれまで以上に連携して、さらなる展開につなげていくというご決意をいただきましたので、ぜひともそのような取り組みをお願いしたいと思います。
鉄道の絡みで最後の質問でございますが、ラッシュ時の、例えばさきの一般質問で取り上げさせていただいた中央線のダイヤの乱れ、あるいは私の地元を通っています京王線の朝の通勤時の速達性が欠けるような状況、各路線にいろんな課題があると思いますけれど、こういったそれぞれの課題、各路線の課題について、都としても鉄道事業者へ改善要望して、場合によっては必要な支援策もとっていくべきではないかなというふうに考えますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長
輸送サービスの改善は、鉄道事業者の経営と密接にかかわることから、原則として鉄道事業者が対応すべきものであると認識しております。
一方、地元区市町村等からの鉄道輸送に関する改善要望につきましては、必要に応じ鉄道事業者へ働きかけを行っております。
都は今後とも、適切な役割分担のもと、鉄道の輸送サービスの改善に努めてまいります。
○両角委員
ありがとうございます。原則は鉄道事業者が対応するものだということは理解もしております。
以前もこういった話を議会の場で質問させていただいたことがありますが、ちょっと違う答弁が返ってきた部分というのは、必要に応じ鉄道事業者へ働きかけていますと、これが通勤混雑緩和を政策に掲げた小池都政の姿、ちょっと行政の姿勢も、物によってはちゃんとつないでいくんだという、そういうふうに理解をして、今後の取り組みも期待をさせていただきたいと思います。
最後の大項目になりますけれど、都営住宅について伺いたいと思います。
きょうも、資料要求で都営住宅関連の数字をいっぱい出していただいているわけでありますが、都営住宅、管理戸数二十六万戸だということがよくいわれるわけでありますが、そもそも都営住宅の戸数というのがわかりにくい。何がわかりにくいかというと、供給戸数だとか管理戸数だとか、戸数の定義がさまざまに、物によって使われ方がさまざまなんですね。だから、何が都営住宅の数なのかというのがよくわからないと。
そこでまず、私は都営住宅の戸数について、現に存在するストックとしての都営住宅が何戸あるのか伺います。
また、現にあるストックとしての都営住宅のうち、都営住宅として現に貸し出されている戸数及び空き家として今後貸出予定の戸数は何戸であるのか、教えていただきたいと思います。
○八嶋経営改革担当部長
平成三十年三月三十一日現在、住宅として保有している戸数は、管理戸数二十五万一千六百九十三戸と募集停止戸数六千百八十戸とを合わせた二十五万七千八百七十三戸となっております。
管理戸数のうち、使用中の住戸は二十二万九千三百六十五戸でありまして、募集用空き住戸は一万二千八百四十八戸となっております。
○両角委員
この質問をするに当たっていろいろやりとりさせていただいて、初めて戸数について理解ができたんですが、今、実際に貸し出している戸数と、まだこれから貸し出し予定の、しかし募集をすれば貸し出す戸数、それを合わせて管理戸数というと。その管理戸数が二十五万七千八百七十三ということで、これがことし三月末現在ですか、それが--違う違う、管理戸数はその二つで、それと募集停止をしているのを足して管理戸数--じゃない、ストックとしての、いやいや管理戸数、わからなくなってきたな。(笑声)わかりにくいわけですよ、つまり。
それで、要は、まずストックとしての戸数が二十五万七千八百七十三だと、これはストック、要は、いわゆる公称二十六万戸というやつは、現に存在するものが二十六万あるということですね。その内訳として、今、実際には都営住宅として使う予定でない、使う予定でないというか、これは建てかえのとき等に使う、通常貸出予定でないのが六千余あると、そんな理解ができました。
次に、都営住宅の戸数というのは幾つが適正なのかなという議論がどういうふうにされてきたのか、されてきていないのか、ちょっとわからないんですが、そこで適正戸数について伺いたいと思います。
平成十四年に策定をされた第三次住宅マスタープラン以降、新規住宅の建設は行わないで、既存ストックを有効活用し、都営住宅のストック数を抑制するという方針が示されているわけでありますが、都は都営住宅の適正なストック数というのを何戸というふうに捉えているのか伺いたいと思います。
○澁谷住宅政策担当部長
ご指摘の平成十四年に策定された住宅マスタープランにつきましては、都内の住宅数が世帯数を上回る状況や将来的な人口、世帯数の減少の見込みを踏まえまして、都営住宅の長期にわたる耐用年数のもとで、将来の需要減少期に余剰ストックとなることを回避するため、現在あるストックの維持管理に重点を移し、供給、管理戸数を抑制していくこととしたものでございます。
一方で、都営住宅の応募倍率の現状に鑑み、現行の平成二十九年三月に策定いたしました住宅マスタープランにおきましても、既存ストックの有効活用を図りながら、管理戸数を抑制しつつ供給するとしておるところでございます。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○両角委員
今のご答弁、私の理解では、二十六万戸というのが最大限、今あるストックをそれ以上はふやしませんよと、そして、今後その需要の状況によっては、今は需要があるので、それを抑制しながら提供しているけれど、今後は減らすこともあるんだというふうに理解をさせていただきました。
次に、都営住宅の立地について伺いたいと思います。
もちろん、この都営住宅、都内全域にあるわけでありますけれど、都営住宅が多いところと少ないところ、それはばらばらであります。
都営住宅、都心の三区にもあります。都心の三区の、例えば最寄り駅から数分圏内の一等地にも約四千戸の都営住宅が存在します。
現在の都営住宅の最高使用料というのは港区北青山の住宅で、月額が実際九万九百円ということで伺っております。低所得者向けに提供されるというのが法の趣旨で、都営住宅、公営住宅の趣旨なんですが、その低所得者向けに提供される住宅が都心の一等地にあるために、このような九万九百円という額になってもしまうわけであります。
先ほどの九万九百円の部屋と同条件の、インターネットで検索しますと、地下鉄青山一丁目徒歩二分、八十三平米ほどのマンションの月額家賃というのは、市場相場では九十万円です。それと比べると驚くほど低額な家賃ではあるといえ、こうした都心の駅近の一等地に立地をすれば、低所得である入居者にとっても負担の大きい使用料を支払わなければならないということになってしまうわけであります。
このように考えると、このように高い使用料を設定しなくてはならない場所に都営住宅を整備するということが、そもそも法の趣旨に合致していないのではないか、こんなふうにも感じるわけであります。
そこで、都営住宅の立地についての考え方について伺います。
○妹尾建設推進担当部長
東京におきましては、戦後の深刻な住宅難や高度成長期の人口集中に対応するため、大量の公営住宅の建設が求められました。これらの需要に応えるため、都は都有地のほかにも、旧軍用地や国有地、民有地等を建設用地として取得し、都営住宅の建設を推進してまいりました。
平成十二年度以降は新規の建設を行わず、老朽化した都営住宅の適切な更新とバリアフリー化を図るため、それまでに建設した住宅の建てかえに取り組んでございます。
○両角委員
今ご説明をいただきましたが、公営住宅法というのが昭和二十六年ですか、できているわけです。戦後、日本は焼け野原になって、この東京も焼け野原になって、住宅をいかに確保するかというのが、本当に一番の重要な課題だったと思います。
今お話があったように、そういった戦後の深刻な住宅難、あいている用地に一生懸命公営住宅を建てて、あるいはもうちょっと行けば、今度は高度成長すれば、どんどんどんどん地方から東京に人が集まってきて、公営住宅も建てれば、多摩ニュータウン開発もするわ、あるいは住宅金融公庫をつくって低利で、そして安定的に持ち家を持ってもらうような政策を国として展開をしてきたということでありますが、そうした中で、要は東京都としても、都民の住宅確保のために一生懸命やられてきたんだと思います。
ですから、あいている用地に、需要がどんどんありますから都営住宅を建てて、低所得者の皆さんが入れるような場を確保するということに、多分、昭和の二十年代、三十年代というのは追われていたのではないかな、あるいは高度成長期もそういう状況にあったのではないかなと。
すなわち、計画論でどことどこに都営住宅をつくるのがいいよねというようなことではなくて、まさに住宅をしっかりつくっていくことが大変な時代がずっと続いてきたんだろうと、そんなふうに今のご説明は理解をいたしました。すなわち、やっぱり需要に後追いをして整備してきたという歴史的経緯が、これはあるんだということであります。
しかし、今、時代が変わって、住宅事情、社会経済状況も随分大きく変わってきたわけであります。高度成長からバブルがはじけて、今は家余り時代でもあるわけであります。
ですから、需要対応後追い型の歴史的な経緯を持った公営住宅の配置についても、非常にポテンシャルの高い土地、建てかえ等に当たって今後どういうふうに対応していくかというのは、真剣に考えていくべきときが来ているのではないかと、私はそんなふうに思うわけでございます。
そこで、社会経済情勢の変化に対応した都営住宅整備のあり方ということで伺いたいと思いますが、これ以上のストックをふやさないという新規建設抑制方針のもと、老朽化した都営住宅の建設、建てかえが今行われているわけでありますが、公営住宅法によれば、この建設事業というのは、もとの土地または隣接か近接する土地で行うということが原則ということであるようでありますが、これは例外を認めないという義務づけ規定なのかどうか、都の解釈を伺いたいと思います。
また、仮に建てかえが必要と判断をした場合でも、機械的にもとの土地に建設をするのではなくて、社会経済状況や当該土地のポテンシャル等を総合的に判断をして、もちろん従前居住者へのケアを十二分にした上で、柔軟に立地の選択をすべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○妹尾建設推進担当部長
公営住宅法で定める建てかえ場所の要件につきましては、ただいま委員からもご発言のあったとおり、もとの土地または隣接か近接する土地で行うというものでございますが、この要件によらない建てかえも可能ではございます。
都は、公営住宅法の要件によらない建てかえを行う場合でも、円滑な事業の推進のため、従前居住者の生活環境に著しい影響を及ぼさないよう、もとの土地または隣接か近接する土地に従前居住者分の住戸を確保しつつ事業を推進しているところでございます。
都営住宅の建てかえ等により創出される用地につきましては、地元区市町と連携し、公共公益施設の整備の促進や民間の活力も生かしながら、都の政策目的の実現や地域経済の活性化、地域特性に応じたまちづくりなどに活用してまいります。
○両角委員
ありがとうございます。ご説明いただきまして、これは法は例外もあるんだ、この要件によらない建てかえも可能ですよという、そういうご答弁でありました。
しかしながら、東京都としては、もとの土地または隣接か近接する土地に建てかえの用地を確保して、そこで事業をしているという、実際の実態のご説明もいただいたところであります。原則どおりということであります。もちろん原則は原則として尊重して、特に居住者の状況に配慮するということは、非常に重要なことだと思っております。
しかし、一方で、その土地の持っているポテンシャルとか立地というのも総合的に考えて、これからは柔軟にいろんな考えを検討して進めるべきであると、そんなふうなことを要望させていただきたいと思います。
続いて、先ほど来お話をさせていただいたとおり、また、今ご答弁あったとおり、公営住宅法が制定された当時と現在では、住宅をめぐる状況は大きく変わっているわけであります。
現在では民間の空き家が非常にふえている。委員会要求資料でも民間空き家の状況が出ていますが、右肩上がり、今は都内で民間空き家八十二万というふうにいわれているわけであります。
こうした中で、今後は、一定の質の建物を認証して家賃の低廉化を図るなど、低所得者の住宅確保に結びつける民間住宅の積極的な活用をすることで、都営住宅の機能補完を図っていくということが重要ではないかと思いますが、所見を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長
低額所得者などの住宅確保要配慮者の居住の安定確保には、公共住宅に加えまして、民間住宅を含めた重層的な住宅セーフティーネット機能が重要と考えてございます。
都は、既存民間住宅を活用したセーフティーネット住宅の登録を着実に進めるため、本年三月に供給促進計画を策定し、住宅の面積基準の緩和を図るとともに、区市町村の意向を踏まえながら、家賃低廉化補助等の予算措置を講じてございます。
また、本年第三回定例会におきまして、手数料条例の改正案をお認めいただきまして改正させていただきまして、セーフティーネット住宅の登録申請手数料を無料化するなど、登録戸数の拡大に努めているところでございます。
今後とも、不動産団体や居住支援法人等の協力を得ながら、住宅登録を促進し、住宅セーフティーネットにおける民間住宅の活用を進めてまいります。
○両角委員
民間住宅の活用を進めていくという前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。ただ、セーフティーネット住宅については始まったばかりということで、登録の件数もまだそう多くないという状況のようでございますが、大切なことは、この目的に対して手段は幾つかあるんだ、時代の要請に合った手段をとっていって、その結果として目的を達することも十分あり得るんだという柔軟な発想で、住宅政策、公営住宅政策にも取り組んでいただきたいということを、改めて要望させていただきたいと思います。
私の質問の最後でございますが、今いった民間の空き家を活用するにしても、その前提として、どういう空き家がどのぐらいあるのかということを把握しないわけにはいかないわけでございます。
そこで、住宅対策として空き家を活用するには、まずその実態把握が必要であり、都内の空き家実態調査を早急に実施すべきと思いますが、所見を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長
空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要でございます。
そのため、都は、平成二十七年度から、区市町村が行う実態調査、計画作成及び空き家活用のための改修等に対しまして補助を実施してございます。都内六十二区市町村のうち、平成二十九年度末までに五十区市町村が実態調査を実施してございます。
引き続き、未実施の自治体や再度の実態調査を行う自治体に対しまして、調査の実施を働きかけますとともに、都の補助制度の活用等によりまして、空き家の利活用を進めるよう区市町村を支援し、取り組みを促進してまいります。