都の職員採用について物申す
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◯両角委員 平成二十四年度の東京都人事行政の運営等の状況、そういうものを見ますと、東京都は、知事部局ほか一般行政職員が一万八千人強、そして公営企業の職員が二万人、さらには警察、消防、教職員まで含めると十六万五千人の職員を擁する、そんな巨大な組織でありまして、すなわち、これがマンモス都庁といわれるゆえんではないかなと感じるところでございますが、今、東京は、オリンピック・パラリンピックの開催も決まって、これから成熟都市として、さまざまな行政課題に取り組んでいかなくてはいけない、そんなステージに入ってきたわけでありますが、その中で何が大切かということを考えると、やはりこれは、つまるところ人であろうと、このように感じるところでございます。
そこで、人、すなわち職員、その入り口部分である採用について、まず伺わせていただきたいと思います。
まずは、初めに、都の職員採用に当たって最近の課題と取り組みについて伺います。
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◯芦田試験部長 職員の採用につきましては、大学卒業程度、短大卒業程度、高校卒業程度の各試験区分を設け、事務、技術職員を確保しております。
一方、近年、高度化、複雑化する都政の課題に対応していくため、これまで以上に幅広く、採用市場全体からさまざまな資質、能力を有する多様な人材を確保することが求められております。
そのため、都は、大学院レベルの高度な専門知識、能力を持った人材を対象としたI類A採用試験、即戦力となる民間企業等の外部人材を対象としたキャリア活用採用選考を実施してまいりました。
さらに、本年度から、大学卒業程度のI類B採用試験の事務区分につきまして、理系学部出身者や民間就職希望者層等、多様な人材を対象とした行政、新方式を導入したところでございます。
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◯両角委員 今の都政の課題というのは、高度、複雑化をしているということで、それに対応するような、さまざまな取り組みをされているというふうに理解させていただきますが、その中で、大学院レベルの職員を採る試験制度、あるいは即戦力を採る制度、さらには、大卒程度で今までと違った多様な人材を採るという視点で、新しい制度を始められたというようなお話がございましたが、それでは、本年度初めて実施されたということでございますが、この新たな試験制度、大卒程度の多様な人材確保に対応したものと伺っておりますが、その概要について伺いたいと思います。
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◯芦田試験部長 お尋ねの行政、新方式につきましては、詰め込んだ知識ではなく、柔軟な発想で課題を発見し、解決策を考え、実行する力を中心に検証できる試験内容といたしました。
具体的には、筆記試験におきまして、従来の専門記述試験及び論文試験を廃止し、受験者の負担軽減を図る一方、表現力、説得力を見るプレゼンテーション面接や、発言力、協調性を見るグループワーク面接を導入いたしました。
本年度は、受験者数千三百十四人に対し、最終合格者七十五人であり、競争倍率は十七・五倍となっております。
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◯両角委員 筆記試験の負担軽減、それとまた新たな発想や表現力を見るという意味で、プレゼンやグループワークを導入したということで、その結果として受験倍率というのがまさに十七・五倍ということで、これは一定の効果を発揮しているんだろうと、そんなふうに思うわけでございますが、まだ初年度でありますので、今後どういう形に、多様な人材の確保につながっているのかという検証が必要だというふうに思いますので、そのあたりをしっかりやっていただきたいと思うところでございます。
一方で、そういった新しい新卒者の多様な人材を採るということと同時に、必要なことは専門性を生かすということではないかと思います。
例えば、都庁の業務の中でも、今、ITの関連、システムがいっぱい入っていますけれども、システム発注するときに、じゃ発注者側の都庁に、そういう専門的な視点で価格やシステムの妥当性を判断できる職員が実際いるかというと、なかなか中に入って専門性をつけるのは難しいだろうというふうにも思うわけでございまして、そういった視点で考えると、今、各自治体で、即戦力の中途の人材を活用する、そんな採用も行われているわけでございますが、そうした中で、今、東京都がここ数年来、経験者採用の試験としてキャリア活用採用選考というのを行っているわけでございまして、その実施状況等についてお伺いしたいと思います。
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◯芦田試験部長 都は、専門的知識やスキルが求められる専門分野につきまして、年齢を問わず知識、能力を有する人材を即戦力として採用するため、平成二十一年度からキャリア活用採用選考を実施しております。
資金運用、情報処理システム等の専門分野ごとに選考区分を設け、配置予定職場を明示した上で選考を実施し、合格者は、主任級職員、場合により係長級職員として採用しております。
さらに、証券アナリスト、システム監査技術者等、選考区分ごとに指定する国家資格等保持者につきましては、専門試験を免除しております。
選考創設以来、平成二十四年度までの四年間で、三十代から五十代にわたる幅広い年齢層の三百四十六人が合格し、それぞれの専門的知識を活用できる部署に配属されてきたところでございます。
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◯両角委員 今、概要の説明と実績、お話がございましたけれども、まさに、平成二十一年からというお話ですが、今、キャリア活用の採用の選考案内というのを拝見させていただいておりますが、例えば資金運用、証券アナリスト資格があれば、これは専門試験免除であるとか、あるいは財務、システム、不動産、医療事務等々あるわけでございますが、今、各地で行われているプロフェッショナルを即戦力として採用するのは、任期つきというのが多いわけでございますが、今回の東京都の採用方法というのは、プロフェッショナルを長期に入れていくということと、六十歳まで誰でも自由に受けられるという、そういう視点で、これはまさに画期的なものだなと、そんなふうに評価をさせていただくところでございます。
しかしながら、まだ数年間ということでございますので、この採用が始まって。先ほどお話をした任期つき採用とのすみ分けというんですか、そこら辺の考え方や、あるいはこうやって入られた方がある程度年齢を経ていった中で、人事のローテーションの中でどうやって昇任をして、組織の中で力を発揮していただくことができるのかというような、そんな長期的な視点も今後検討して、より実りのある制度にしていっていただきたいなと、こんなふうに思うところでございます。
続いて、昇任選考について伺いたいと思うんですが、採用が入り口だとすると、人材育成をして、そしてその中で、能力と意欲のある方が、マネジメントしていくような道を上っていくということになるわけでございますが、まずその中で、特に昇任試験というのは、東京都の場合は古い歴史があるというふうに承知をしております。昇任試験は、組織全体に広く有為な人材を求め、公平に選抜を行っていくという意味で有効であると思いますし、東京都の場合は、学歴や性別によらず、誰でも一定の職務を経験すれば受験することのできる試験制度が、人事制度の柱として長い歴史の中で有効に機能してきたんだろうと、こんなふうに思っているところでございます。
しかしながら一方で、今、各自治体を見ますと、例えば、女性が、採用される方も四割ぐらい、最近では東京都も女性だということでございまして、出産をしたり子育てをしたりというライフワークバランスの問題があったり、あるいは若者の仕事観が変わってきたりして、ただただ勉強漬けの過重な負担というのも、この試験制度の問題としてクローズアップをされて、各自治体では受験率が年々低下をして、試験制度としてなかなか成り立たないというようなところも出てきて、試験制度の改正というのが行われているというのも、またこれは事実でございます。
私も、私ごとになりますが、実は二十年以上前に私は横浜市の職員をやっておりまして、そこでは係長昇任試験というのがありました。一回だけなんですけれども、当時は十倍ぐらいの倍率だったんですが、仕事漬けになって、その後、勉強会があったり、参考書があったりして、まさにブロイラーのように勉強して、何でこんなことをやっているんだろうなと。しかし、そのときに耳に入ってくるのは、東京都の試験はもっとすごいらしいと、恐ろしいものらしいと、そんなようなお話でございました。
そのとき、こんなに過重な負担をしながら、仕事が終わって、ある程度年がいった人が勉強するというのは、どこに意味があるのかなと思いつつも、やらなきゃいけないから勉強もしたわけでございますが、東京都の試験制度につきましても、紆余曲折を経て、多分、変更を重ねてきたんではないかと思うんですが、それでは、現在、都の昇任制度というのはどのようになっているのか。特に、代表的な都の昇任制度である主任級の選考について伺いたいと思います。
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◯芦田試験部長 主任級職選考は、学歴や採用時の試験区分にとらわれない公平な昇任システムとして、昭和六十年度から実施しており、昨年度は受験者約二千九百人、合格者約七百人という規模でございました。
選考の方法は、基礎法令、都政実務等を内容とする択一試験や論文等の筆記考査と、勤務評定となっております。
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◯両角委員 試験制度、主任選考につきましても負担軽減を今、図ってきているということで、いろんな改正をしているということであります。
今、若い方も、ただ偉くなろうというような、そんな考えを持っている人はほとんど少ないんじゃないでしょうか。やはり仕事を通じて自己実現をして、組織に貢献して社会に貢献をしたいとか、あるいは自己研さんにつながるようなことがそのまま人のためになるというような、そんなセンスを持っている方が非常に多いですし、あるいは自分の一生の中で仕事を組み立てていく、自分の暮らしとのバランスも考えていく、そんなような方が大変多いんではないかと思うわけです。
そうした中で、主任級選考、負担軽減をしたといえども、意欲を持ってチャレンジをしていただけるような制度としていくためには、やはりただ取り組みやすいというだけではなくてインセンティブが必要ではないかと、このように思うところでもあります。
そこで、主任級選考について、意欲ある職員がチャレンジしやすい、そしてインセンティブが働く、そんな取り組みとしていただきたいと思いますが、ちょっとご見解を伺います。
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◯芦田試験部長 平成十八年度の選考から、職員のライフプランに合わせ、意欲ある職員がチャレンジしやすいよう制度改正を行いました。
具体的には、筆記考査につきまして、都職員として必要な基礎知識の検証を主眼に置き、一部試験科目を廃止するとともに、一定点数以上の者についての翌年度以降の該当科目の受験免除等を行っております。
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◯両角委員 時代とともに試験制度も変わりますから、当然、職員の皆さんの、今、幾つかのパターンで軽減をするというような話が出ました。
でも、先ほどお話をさせていただきましたように、個人的な狭い私の経験でいっても、一生懸命勉強して、それがそのまま直接、例えば、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催される。そういう夢を持って入庁されてくる若い職員もいらっしゃいます。そうした職員が、例えば、これから一定の基準を経て、あるいは今いらっしゃる職員の中でそういう部署に行きたいなと、あるいは国際的な都市間外交みたいなのをやっているところもありますから、語学を磨いて、そして行きたいなと、そういう部署に行ければなと、そう思ったときに、試験科目に、例えばそういうものがあれば、直接実になるわけです。その語学が生きる。受かった後にインセンティブとして、そういう部署で仕事ができるというようなことになれば、これはまた人事委員会とは違うかもしれませんが、連携をとって、仕事面でも、あるいは研修機会等でもそうですし、あるいは金銭面でもそうです。いろんなインセンティブを組み込んで、職員のやる気をさらに引き出すような人事制度をつくっていただくように希望して、質問を終わります。
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