前東京都議会議員 両角みのる
2013年9月26日

オリンピックについて物申す その1~便乗投資

◯議長(吉野利明君) 七十五番両角みのる君。
   〔七十五番両角みのる君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

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◯七十五番(両角みのる君) 去る九月七日、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京招致が決定し、東京、そして日本の歴史に新たな一ページが刻まれることとなりました。
 スポーツを通じ、世代を超えて大きな夢を追うことのできる幸せを感じるとともに、日本経済再生に向けても大きな期待が寄せられているところです。私たちも、東京大会が成功するよう、精いっぱい力を尽くしてまいります。
 一方で、五輪開催を当て込んだ不要不急のインフラ整備や、無駄な便乗投資はしっかりとチェックをしていく必要があります。知事も先般、オリンピックだといって、あれもこれもやりたいといろいろ便乗が出てくる、そうしたことが横行しやすいと発言をされ、一気に交通インフラ整備を進めようとする動きにくぎを刺したと伝えられております。
 私たちみんなの党は、こうした知事の姿勢に賛意を示し、不要不急の便乗投資にはノーと、しっかり知事をバックアップしていくことをお誓い申し上げます。
 ところで、二度目の東京五輪開催とはいえ、一九六四年大会当時とは状況は大きく変わっています。
 前回、東京五輪は、戦災から復興した日本の姿を全世界に示しました。今、我が国は、人口減少と経済の低成長のもと、財政は痛み、高齢化が急激に進行しています。
 そこで、成熟した都市となった東京で開催される二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックはどのような大会であるべきか、知事の見解を伺います。
 さて、ブエノスアイレスのIOC総会での東京のプレゼンテーションは、感動的なものでありました。プレゼンを通じ、日本は本当にすばらしい国だと再認識し、スポーツの持つ力に励まされた佐藤真海さんの訴えに、世界の人々が心動かされました。
 そして、もう一つ、招致を決定づけた要因といわれているのが、福島第一原発の汚染水漏えいに関しての安倍総理の発言でした。
 しかし、汚染水の影響は港湾内に完全にブロックされている、状況はコントロールされており、現在も将来も全く問題ないといい切る発言には、正直、驚きと違和感を持ちました。汚染水問題は、現実にはとても制御されているような状況ではありません。
 しかし、見方を変えれば、これは日本国首相の決意表明であり、原発事故、汚染水対策に国を挙げて全力で取り組み、解決することを国際的に約束したということでもあります。
 そして、この汚染水対策を含め、原発事故の処理をなし遂げることなくして、オリンピックの成功も、日本の将来も見通せないということであります。
 私たちみんなの党は、東京から原発依存ゼロを合い言葉に、発送電分離を柱とする電力改革と、クリーンエネルギー活用による低炭素都市実現を訴えてまいりました。
 都では、猪瀬知事の強力なリーダーシップのもと、電力のシステム改革と低炭素都市東京の実現に向けた取り組みがなされ、本年四月には、エネルギーに関する専管組織として都市エネルギー部が設置をされました。
 そこで、電力システム改革と再生エネルギー政策に関して伺います。
 まず、電力システム改革についてですが、本来、このテーマは国が主体的に取り組むべきものであると思います。しかしながら、東京は電力の大消費地であり、大口の電力需要家であり、東電の大株主でもあります。
 こうしたことを踏まえれば、エネルギー政策は国の政策分野であると傍観するのではなく、都も積極的に取り組んでいくべきと考えますが、電力システム改革に関する知事の所見を伺います。
 国は、二〇一六年を目途に、電気の小売業への参入全面自由化を目指しています。しかし、現時点で新電力のシェアは四%程度と極めて小さなものにとどまっている状況です。
 このような状況を見たとき、新電力育成に向け、都が率先すべきと思いますが、見解を求めます。
 次に、再生エネルギーに関して伺います。
 二〇二〇年五輪東京招致決定後、安倍総理は、原発への依存度を低下させ、再生エネルギーの利活用を促進していく方向を打ち出しました。こうした発言を受け、再生エネルギーの研究開発、利活用が大きく進んでいくことが期待されます。
 都では、これまでも地域分散型の発電に向けた取り組みを進めていますが、再生エネルギーをめぐる機運の盛り上がりを踏まえて、その利用促進をさらに加速し、地域特性に応じた取り組みを一層進めていくべきと思いますが、都の所見を求めます。
 次に、行政改革に関し、外郭団体について伺います。
 東京都の外郭団体は、平成十三年以降、各団体への都の出資や人的支援の状況から、監理団体、報告団体という分類が行われています。
 現在、三十三ある監理団体に関しては、総務局が全庁的に指導監督していく。五十ある報告団体は、所管局ごとの指導監督を基本としながら、総務局が報告を徴する。その他団体は、各局対応とし、原則、総務局は関与しないというものです。
 こうした中、近年の議会では、外郭団体イコール監理団体という図式で、主に監理団体を俎上にのせた議論が行われてきています。こうした状況を前に、私はどうしても木を見て森を見ずというふうに感じてしまいます。
 例えば、毎年度実施される都の財政援助団体等に関する監査報告書の対象は、地域団体等を含め四千以上ありますが、これらに含まれる多くの団体の状況はブラックボックスとなっており、その全体像はほとんどわかりません。
 巨大自治体東京都において、外郭団体の問題を根源的に考えようと思えば、全体像を捉えること、すなわち、監理団体や報告団体以外の団体の実像を網羅して、誰もがわかりやすい線引きをして示すことからスタートすべきではないでしょうか。
 そこで、一度、全庁横断的に外郭団体の全体像を把握し、その実態を踏まえて、再度そのあり方を議論、整理すべき時期に来ていると考えますが、都の所見を伺います。
 ところで、監理団体については、多数の都職員が恒常的に定数外で派遣をされているなど、今なお課題もあると認識をしておりますが、役員の退職金の全廃、都職員の再就職状況の情報公開などの改革が断続的になされており、一定の評価をするところであります。
 一方で、個々の監理団体に関していえば、社会情勢が大きく変化する中、例えば東京水道サービス株式会社や東京都下水道サービス株式会社などは、蓄積をした高い技術水準とノウハウを生かし、ニーズが高まる途上国での水関連インフラの整備と管理を一元的に行うことなど、今後の展開に新たな可能性も感じます。
 そこで、個別の監理団体のあり方について、設立時の各団体のミッションだけでなく、現時の状況に応じた今日的な観点から、再度その存在意義を見直すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、多摩振興に関して質問いたします。
 今月二十八日には、スポーツ祭東京二〇一三、いわゆる多摩国体が開幕いたします。また、ことしは多摩地域が東京府に移管されて百二十年目、まさに本年は多摩にとって節目の年であります。
 こうした中、都では、二〇三〇年を目途に多摩地域の将来像を描いた、新たな多摩のビジョンを策定いたしました。今、この将来像をどう具現化していくか、スケジュールや方法を決めていく段階に入ったものと思いますが、今回の計画は、民間企業やNPOなどの多様な主体の活動指針となることを目指しています。
 そこで、都では、企業やNPOなどの各主体との連携、さらには全庁横断的な体制など、この将来像を具現化するためにどのように取り組まれるつもりか、今後の展開とあわせ、お聞かせを願います。
 新たな多摩のビジョンは、多摩地域において、エネルギーの地産地消を推進し、災害に強い安全なまちとしていくとうたっています。
 ところで、多摩の人口は区部に先駆けて減少局面に入り、大規模工場の撤退が相次ぐなど、大きな局面転換期にあるというのが、この計画策定の問題意識と背景でもあります。まさに多摩地域をめぐる状況は大きく変わりつつあります。
 こうした中にあって、多摩地域は、大規模な空地があり、森林や水などの自然資源にも恵まれ、大学等多数の研究機関が立地し、高等教育を受けた多くの人々が暮らす人的資源にも満ちたエリアです。
 今般示された低炭素で自立分散型エネルギーのまちづくりというコンセプトは、安心・安全や環境に優しいまちに資するだけではなく、地域振興の視点からも、より大きな可能性を有しているのではないかと私は思います。
 そこで、私は、自然資源と人に恵まれた多摩が、新エネルギーの研究開発からエネルギーの地産地消までを展開する日本における先進地域となり、次の世代の多摩地域に新たな産業と雇用が生み出されることを期待しています。
 そこで、多摩新時代をつくり上げていくために、ぜひとも多摩の各地域の特性を生かした自立分散型エネルギーのまちづくりを、早期具現化を強力に推し進めていただきたいと思いますが、都の所見を伺い、一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

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◯知事(猪瀬直樹君) 両角みのる議員の一般質問にお答えします。
 オリンピック・パラリンピックについてでありますが、東京が世界のフロントランナーとなった今、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、成熟して洗練された都市にふさわしい大会にしなければいけません。
 ご質問の中で、交通インフラ整備の話が出てきましたが、必要なものは整備しながら、既存のものを最大限に活用していく。また、大会開催を機にバリアフリー化を徹底していきます。
 また、競技施設の面では、日本武道館や、いわゆる代々木体育館など、前回の一九六四年大会の競技施設を利用し、レガシーを生かします。
 その一方で、新たに整備する施設については、最先端の技術を活用することで、これからのモデルとなる大会にしていきたいと思っております。
 同時に、都市の歴史と伝統というものも大切にしていきたい。招致活動の一環で、帝政ロシアの首都サンクトペテルブルクを訪問しましたが、歴史と伝統ある都市のすばらしさを実感いたしました。
 東京にも、江戸からの伝統、江戸城であった皇居、小石川後楽園のような大名庭園、古くからの神社仏閣などがある一方で、その周りには近代的な高層ビルがあり、旺盛な経済活動が行われています。そこには伝統とモダンが入りまじり、共存している東京ならではの魅力があります。
 そして、時間に正確な鉄道のダイヤにも代表されるような人々のきちょうめんさ、あるいは、東京マラソンでボランティアの方々が見せた、スタートで預けた荷物が一つも間違えずにゴールに届くホスピタリティーなど、東京の持つ魅力、力をまず我々自身が意識化して、自信を回復することが必要であります。
 そして、これからの七年間、東京のすばらしさを東京を訪れる全ての人々に知ってもらえるよう、アピールしていきたいと思っております。
 成熟都市東京の魅力を結集して、二〇二〇年大会成功の原動力にしていきたいと思います。都民、国民の皆様のご協力をお願いいたします。
 電力システム改革についてでありますが、東日本大震災によって露呈した電力供給体制の脆弱性を克服するため、東京都はこれまで、電力システム改革に向けたさまざまな取り組みを行ってきました。
 東京電力に対しては、昨年の株主提案で構造改革を求め、その結果、発送電分離の先駆けとして、社内カンパニー制がことし四月から導入されました。
 また、地域独占体制を見直し、電力市場への多様な主体の参入を図るため、新電力と域外供給を合わせて、シェア三〇%を目指すように政府に求め、東京都としても率先的な取り組みを進めてきました。
 具体的には、東京都施設での新電力の導入や複数契約の実施を進め、新電力の参入機会を拡大してきました。
 あわせて、新電力の供給力確保のため、都営の水力発電の新電力への売電、そして常時バックアップの拡大を実現してきました。
 さらには、電力会社が地域を超えて互いに競争して、競い合うような働きかけをした結果、中部電力がグループ会社を通じて東電管内で電力を供給することとなり、東京都の施設が、その事実上の域外供給の第一号として契約しました。
 今後も、電力システム改革に向けて、具体的かつ現実的な取り組みを進めていきます。
 なお、その他の質問については、関係局長から答弁いたします。

   〔環境局長長谷川明君登壇〕
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◯環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新電力育成に向けた都の取り組みについてでございますが、都はこれまで、都立中央図書館で自治体として初めて電力の複数契約を導入するなど、新電力の参入機会の拡大に向け、先駆的な取り組みを実施してまいりました。
 今年度当初には、都施設における新電力の導入を三百五十施設、契約電力十万キロワットとする目標を掲げ、このため、供給開始時期について、新電力の供給力の状況を考慮するとともに、電力規模も新電力が参入しやすいようグループ化するなど、入札方法にも工夫を凝らしてまいりました。
 その結果、本年十一月の時点で合計三百三十七施設、九万九千キロワットが新電力から供給を受けることとなり、目標をほぼ達成しております。
 今後とも、都として新電力の育成に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの普及促進についてでございますが、都は、建築物が集積する東京の特性を踏まえ、太陽エネルギー普及拡大のためのさまざまな施策を展開しております。
 太陽光発電につきましては、住宅用のさらなる普及促進に資する屋根ぢからプロジェクトを実施するとともに、太陽光発電に比べ普及が進んでいない太陽熱利用につきましては、住宅供給事業者向けの補助事業を実施しております。
 これらの取り組みは、再生可能エネルギー普及策のモデルとなるものであり、都は引き続き、東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギーの普及を進めてまいります。
 また、多摩地域において、都はこれまで、市町村におけるバイオマス利用の導入を支援してきており、引き続き、地域特性を生かした再生可能エネルギーの利用促進に向け、検討を行ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

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◯総務局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外郭団体のあり方についてでございますが、外郭団体は都が出資などを行っている外部の団体であり、幅広い分野で都政の補完、支援の役割を担っております。
 都では全ての外郭団体について、基本的には所管局が出資者等の立場から、その責任において適切に関与をしております。
 一方、一定以上、都政と関連性の深い団体を監理団体及び報告団体に区分し、そのうち監理団体については、東京都監理団体指導監督要綱などに基づき、全庁的な指導監督を行っております。
 加えまして、地方自治法に基づいた監査委員による監査や、外部の専門家による包括外部監査制度等を活用し、都施策と関連のある団体事業の検証を行っております。
 こうした取り組みを通じて、今後も、都と外郭団体の関係を適切なものとしてまいります。
 次に、監理団体の存在意義の見直しについてでございますが、監理団体の存在意義や事業内容については、社会経済状況の変化などに応じて、不断の検証が必要でございます。
 都では、東京都監理団体活用方針を策定し、都と監理団体、民間の役割分担や、個々の監理団体の業務について改めて検証し、その存在意義を明らかにいたしました。
 また、毎年度実施いたします経営目標の達成度評価などを活用し、経営基盤の強化や自律的経営の促進などに努めてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みにより、監理団体の存在意義や担うべき業務について、適時適切に見直しを行い、監理団体の強みを最大限に引き出しながら、都政を支える重要なパートナーとして活用してまいります。
 次に、新たな多摩のビジョンの具現化についてでございます。
 ビジョンの具現化に際しては、都はもとより、市町村や民間などの多様な主体の総力を結集する必要がございます。
 このため、まず都みずからの全庁的な推進体制の強化に向けて、本年六月に多摩島しょ振興推進本部のもとに、ビジョン事業化検討会を設置し、実務レベルで現場に根差した具体的な取り組みを検討していくことといたしました。
 また、七月には市町村、民間団体、学識経験者を交えたビジョン連携推進会議を立ち上げました。既に金融機関や開発事業者との意見交換を実施しており、今後も多摩地域における事業上の課題などについて、関係機関で共通認識を醸成してまいります。
 こうした体制のもと、都の取り組みに加えて、市町村や民間などの先進的な取り組みも盛り込んで、今後三カ年を見据えた新たな多摩のビジョン行動戦略を年度内に取りまとめ、多摩地域の振興を推進してまいります。
 最後に、多摩地域における自立分散型エネルギーのまちづくりについてでございますが、新たな多摩のビジョンでは、災害時におけるバックアップや地域資源を活用した低炭素化など、エネルギー施策の重要性を踏まえて、自立分散型エネルギーのまちづくりを今後の施策の方向性として位置づけました。
 多摩地域では、公共施設の屋根貸しや森林資源を生かした木質バイオマスのエネルギー利用など、特色ある取り組みも行われており、こうした多様な地域資源を生かした取り組みを一層推進することが必要です。
 このため、市町村との意見交換やビジョン連携推進会議における議論などを通じて、地域の実情や課題を把握した上で、ビジョンで示した方向性に沿って、行動戦略に盛り込む具体的な内容を検討してまいります。
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