小笠原沖での中国船団の密漁について物申す
◯副議長(藤井一君) 七十五番両角みのる君。
〔七十五番両角みのる君登壇〕
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◯七十五番(両角みのる君) まず、小笠原沖での中国船団の密漁について伺います。
本年十月末、小笠原沖の海が二百隻以上の中国の密漁船に埋め尽くされました。今は姿を消したとはいえ、いつ再びあらわれるかもしれない密漁船に、住民は不安な日々を送っています。都の行政エリアで密漁船団が長期に居座り、我が物顔で違法操業を繰り広げることは、とても看過できるものではなく、強い憤りを感ぜずにはいられません。
領海侵犯は都政権限が及ばぬことですが、都としての意思を内外に発し、知事を先頭に、島民の不安にしっかりと応えていかなくてはなりません。
今後も、関係機関が連携して情報収集に努め、環境や漁業、観光への影響を把握し、それらに対し、都は総合的な取り組みを進めるべきです。
今月十六日には、海上保安庁が小笠原方面に向かうと見られる中国船団を沖縄近海で確認しており、知事みずからが早期に現地視察することの重要性が高まっておりますが、今後の知事の現地視察の意向を伺います。
次に、東京DMATについて伺います。
東京DMATは、平成十六年の発足以来十年、災害現場での救急救命活動に大きな成果を発揮してまいりました。現在、都内二十五病院が東京DMAT病院に指定され、三百六十五日二十四時間、いつでも出動できる体制が整えられております。
都には、DMAT活動の環境を整える役割が求められており、現場の声を生かした対応が必要です。
今後、どのような面で、指定病院や隊員に対して質の高いDMAT活動を継続できる環境整備と支援を進めていくのか、見解を伺います。
次に、DMATカーについて伺います。
都は、平成二十三年度から二カ年間で、全指定病院に、災害時に長時間自己完結活動ができるDMATカーを配備しました。配備後一年八カ月間の全車両の運用実績は、トータルで出場十二回、訓練百六回、転院搬送が十九回となっています。
ところで、私の地元では、平成二十三年に八王子市高齢者救急医療体制広域連絡会、通称八高連が立ち上がり、現在、市内の十五団体、百四十七機関が加盟して、地域の高齢者救急の問題に取り組んでいます。こうした団体では、転院などの搬送ニーズが高まっていると聞いております。
そこで、現在日常的には活用されていないDMATカーを、本来目的に支障が生じない範囲で、こうした需要に対応することができないものかと思いますが、見解を伺います。
引き続き、救急搬送の適正化と在宅医療患者の搬送支援について伺います。
救急搬送人員は、ここ五年で七万人以上ふえ、そのうち高齢者の割合は年々高くなり、平成二十五年には、全搬送者に占める六十五歳以上の割合は四八・二%と半数近くまで達しています。
救急搬送については、いわゆる病院たらい回しが社会問題化し、平成二十一年、救急医療の東京ルールが設けられ、以降、搬送困難事案の発生割合は減少傾向にあります。
しかし、急激な高齢化の進行に伴い、救急搬送件数はますますふえていくことが予想されます。真に緊急性のある患者とそうでないケースを分け、適正な救急車利用を図るためにも、在宅で療養する高齢者が地域で生活を継続できる環境整備が必要です。
そこで、高齢者を初めとした在宅療養患者を地域で支えるため、八高連の事例などを参考に、区市町村を含めた慢性期医療機関等、広範な関係機関の地域連携を進め、病院などへの患者搬送について必要な支援を行うことが必要と考えますが、今後の取り組みを伺います。
続いて、都有財産の有効活用について伺います。
間もなく長期ビジョンが発表され、東京パラリンピック・オリンピックとその後に向けた東京のあるべき姿と数値目標が示されます。
目標達成に当たっては、特に施設整備が必要な分野は、都有地の活用を考えていかなくてはなりません。そのためにも、都の保有財産の中身の把握が必要と考えます。
そこで、財務局所管の普通財産保有状況を伺います。また、そのうち、保育所や高齢者施設に活用可能な用地はどの程度あるのか伺います。
都有地の活用に当たっては、まずは普通財産の活用を考えるべきですが、一方で、各局所管の財産には、施設の老朽化で取り壊して以降、利用目的が定まっていないものや、将来利用を見込み取得をしたけれど、計画実現性が乏しいものなどあるはずです。そのような未利用地は速やかに普通財産化をし、全庁的視点から都の喫緊課題に有効活用をしていくべきです。
そのためにも、新長期ビジョンが示される今のタイミングでこそ、各局所管財産の中身を調査、確認する棚卸し作業、資産アセスメントを集中的に実施すべきです。そして、普通財産化を促進し、都の今日的行政ニーズに対応していく必要があると考えますが、見解を伺います。
都有財産の精査、有効活用とともに重要なのは、利用計画のある未利用地についても、その形態に応じて積極的に都民還元をしていくという考えではないでしょうか。
私の地元の旧東京都立産業技術研究センター八王子支所跡地は、JR八王子駅と京王八王子駅から、それぞれ三分程度の至便な場所にあります。約一万平米の広大な更地の今後については、市民の関心は高いものがあります。
産業労働局所管の当該用地は、平成二十六年度、三千万円の予算が計上され、仮称産業交流拠点整備に向け、基本計画を策定中ですが、平成二十四年の更地化以降、ほとんど活用がされていない状況が続いています。
今後、産業交流拠点整備に向けて、基本設計一年、詳細設計二年程度、工事着手まで最短でも三年は要するのではないでしょうか。であれば、当該用地に関し、早急にそれまでの間の有効な活用策を立て、都民還元を図るべきと考えます。
ところで、過日、当該用地で、地元自治体の後援を得て二日間のまちづくりイベントの使用許可を得ようとした団体がありましたが、東京都公有財産規則中の国または地方公共団体その他公共団体に当たらないとの理由で許可がおりなかったと聞いております。
本規則には、前各号のほか、特に必要があると認めるときとあり、特段の支障がない限り、まちづくりに資するような単発イベントには、地元自治体の後援名義を得る等の一定条件があれば、都民の共有財産の使用を積極的に認める立場をとるべきではないかと考えますが、今後の行政財産の使用許可について都の基本姿勢を伺います。
次に、職員住宅について伺います。
都有財産の中には、交通至便な一等地のものを含め、職員住宅があります。総務局が所管する職員住宅は、平成二十六年四月一日現在千七十九戸となっており、これに係る経常経費として年一億二千万円程度が、そのほかに大規模改修経費として五億から八億円台の支出がここ数年毎年なされております。
職員住宅は、都が土地、建物を所有する形態ですが、修繕、建てかえ、日常管理などを考えると、所有や管理形態を再考する余地があると考えます。
そこで、土地、建物を都が所有して自己管理する手法だけでなく、サブリースや借り上げなど民間物件も含めてコスト面を考慮し、職員住宅の所有や管理のあり方を考える時期に来ていると思いますが、今後の取り組みを伺います。
最後に、特殊詐欺について伺います。
特殊詐欺による本年の被害は、過去最悪だった昨年の四百八十九億円を上回り、五百億円を突発する見通しです。
最近では、受け子と呼ばれる金銭の受け取り役を中学生が担わされたりと、その影響は青少年にまで及んでおり、大きな社会問題となっております。このような卑劣な犯罪根絶に向けて、社会全体で特殊詐欺に当たる仕組みが必要です。
警視庁では、民間企業との連携という観点から、新たに企業、団体を対象とした特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京をスタートさせました。オレオレ詐欺の被害者が勤労者の親、祖父母に多いことから、会社という場を通じた効果的なプログラム実施を目的としたもので、平成二十六年十月末現在で七百六十三社、七十五万九千三百九十六人が参加しています。
そこで、この特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京のこれまでの効果を伺います。
また、企業等に対する今後の周知、広報戦略をどのように考えているのか、さらに、参加企業の声を反映してプログラムをアップデートすべきと思いますが、見解を伺います。
一方で、警視庁では、地方自治体との連携という観点から、本年八月、特殊詐欺根絶オール東京プロジェクトを立ち上げ、足立区と調布市をモデル自治体に選定、推進していると聞いております。
そこで、本プロジェクトの目的と進捗状況、今後の取り組みを伺い、質問を終わります。
〔警視総監高綱直良君登壇〕
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◯警視総監(高綱直良君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
警視庁における特殊詐欺の根絶に向けた取り組みのうち、議員ご指摘の二つの取り組みについてお答えをいたします。
初めに、特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京についてでありますが、この取り組みは、被害に遭いやすい高齢者を親あるいは祖父母に持つ会社員の方等を対象に、特殊詐欺の手口と同様の電話を実際に勤め先から親御さん等にかけていただいて、親御さんともども疑似体験をしていただくことで、特殊詐欺に対する対応能力の向上を図ることを目的としております。
この取り組みにつきましては、実際に訓練を受けた方から、被害防止に役立つ旨の感想が寄せられているほか、本年十一月末現在の都内における特殊詐欺の認知件数、すなわち発生件数と、被害額、だまし取られたお金の額でありますが、これらにつきましても、昨年の同じ時期と比較をいたしまして、いずれも減少をいたしており、一定の効果は見られているところでございます。
しかしながら、依然として厳しい状況に変わりはありませんことから、今後とも、関係団体と連携をし、この取り組みの効果を紹介するなどにより周知を図り、より幅広い企業等の参加を働きかけていくほか、プログラムの内容につきましても、訓練に参加をいただいた方々の声や犯行手口の変化などを反映させて、より効果的なものに更新をしていくことといたしております。
次に、特殊詐欺根絶オール東京プロジェクトについてであります。
この取り組みの目的は、都内の全ての区市町村が特殊詐欺の被害防止に効果の上がる施策を共有して、オール東京での取り組みを推進していただくことであります。現在は、一部の自治体においてこの取り組みを推進していただいているところでありますが、今後は、各自治体間での情報共有を図りつつ、それぞれの地域の実情に応じた施策を地元の警察署と連携して推進していただくこととしております。
警視庁といたしましては、引き続き、関係団体、企業、自治体の皆様と連携をして、これらの取り組みを含めた対策を強力に推進することによりまして、特殊詐欺の撲滅を図ってまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
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◯総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、中国漁船による違法操業についてでございます。
都はこれまで、取り締まりの強化や必要な法整備を国に強く要望してきたほか、海上保安庁などと連携し、都の漁業調査指導船による監視活動を行うとともに、関係機関との連絡会議を立ち上げ、情報の共有化、連携の強化を図ってまいりました。
島民の方々が不安を抱くことのないよう、今後も、関係機関と緊密な連携のもと、引き続き取り組んでまいります。
視察につきましては、昨日、改めて現地に赴きたい旨、知事がご答弁申し上げたところでございます。
次に、職員住宅の管理方法についてでございます。
都の職員住宅は、災害対策住宅、職務住宅、それ以外の一般の職員住宅の三種類がございます。
このうち一般の職員住宅についても、東日本大震災や大島での災害の経験を踏まえ、今年度からBCPを支援するための住宅と位置づけ、行政目的での使用を明確化いたしました。
これらの管理に当たりましては、備蓄資材の配置や災害時の活動拠点としての機動的な活用など、行政目的に沿った使用を想定する必要があり、また、要件を満たす物件の安定的な確保が不可欠であることから、民間物件の借り上げ等にはなじまないものと考えております。
今後とも、既存ストックを有効活用し、コスト面の観点も踏まえ、設置目的に見合った職員住宅の適切な管理を図ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
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◯福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、東京DMATに対する支援についてでありますが、都は、災害現場において東京DMATが効果的に機能を発揮できるよう、医療資器材、被服、衛星携帯電話等の装備品を東京DMAT指定病院に配備しております。また、隊員の技能や資質の向上を図るため、指定病院において出場を想定した訓練を実施するほか、東京消防庁と連携した活動訓練や研修を行っております。
これらのDMAT活動に必要な装備品や訓練、研修のカリキュラム等につきましては、災害現場で活動する隊員等の意見を踏まえながら、指定病院、東京都医師会等関係機関で構成する東京DMAT運営協議会において検討し、常に見直しを図っております。
今後とも、関係機関と連携しながらこうした取り組みを推進し、東京DMATの活動を支援してまいります。
次に、東京DMATカーの活用についてでありますが、都は、都内及び都外で大規模な地震災害等が発生した場合に、東京DMATが、災害発生直後からおおむね七十二時間までの間、被災現場で迅速かつ確実に活動ができるよう、指定病院にDMATカーを配備しております。
このため、指定病院においては、知事からの緊急の出場要請に応じて、いつでもDMATカーが出場できる体制を確保しておくことが必要でございますが、東京DMATの活動に支障がない範囲で、指定病院が行う転院搬送などにDMATカーを活用できることとなっております。
最後に、在宅療養患者を地域で支えるための支援についてでありますが、都はこれまで、地域における在宅療養の取り組みを進めるため、病院から在宅への円滑な移行等を調整する在宅療養支援窓口の設置や、地域の医療機関に病状変化時に利用できる病床の確保に取り組む区市町村を支援してまいりました。
また、昨年度から、地域の医療機関等と連携して、患者情報の共有化や病院救急車等による在宅患者の搬送手段の確保に取り組む区市町村等を支援しておりまして、現在、一区二市において取り組みが行われております。
今後とも、高齢者を初めとした在宅療養患者が地域で安心して療養生活を送ることができるよう、関係機関と連携して区市町村の取り組みを支援してまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
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◯財務局長(中井敬三君) 都有財産に関する三点のご質問にお答えいたします。
まず、財務局が普通財産として所管している都有地の保有状況についてでありますが、平成二十六年三月末現在、都有地全体で二千二百十四件、約四百八十七ヘクタールを所管しており、利活用を想定していない無人離島や緑地保全地、利活用が困難な借地権が設定されている長期の貸付地を除いた、売却や貸し付けなどの利活用の対象となる未利用地は三百三十二件、約百九十三ヘクタールであります。
このうち、大規模な土地造成なども不要で、一般に行政施設の整備に利用しやすいと考えられる五百平米から一万平米の規模に当たる未利用地は、区部、多摩合計で九十四件、約二十一ヘクタールとなっており、未利用地全体に占める面積割合は約一一%、件数割合では約二八%でございます。
次に、都有財産の調査、有効活用についてでありますが、平成二十年度に策定した主要施設十カ年維持更新計画に基づき、施設の建てかえや統廃合で使用しなくなった土地や、都市計画等の行政計画の変更で事業予定地でなくなった土地は、十分に確認、検討した上で普通財産への切りかえを行っております。さらに、同計画は策定から五年が経過したことから、今年度見直しに着手しており、今後も時代状況の変化に適切に対応していくこととしております。
また、ことし七月に公表した福祉インフラ整備のための土地活用方策では、都有地貸付料の大幅減額をルール化するとともに、都営住宅等の建てかえに伴い、今後十年間で三十ヘクタールを超える土地を創出することとしております。
今後とも、都政における喫緊の課題解決のため、都有地の適切な管理と有効活用を図ってまいります。
最後に、行政財産の使用許可についてでありますが、行政財産は公用、公共用目的で使用することが原則であり、目的外の使用許可は、他の地方公共団体が使用する場合などに限っております。
そのため、民間事業者等が行うイベント等については、公共性、公平性の観点から使用許可は行っておりませんが、地元自治体が共催などの形で主体的にイベント等の運営に関与する場合には、公有財産規則に定める、特に必要があると認めるときに当たるとして、都有地の使用に関する要望や相談に適切に対応し、協力をさせていただいているところでございます。
なお、一定期間、土地が未利用となることが見込まれる場合には、将来の土地利用に支障とならない範囲で、競争入札による貸し付けなどの暫定活用を行うこととしております。
今後とも、都有地の適切な管理と有効活用に努めてまいります。
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