前東京都議会議員 両角みのる
2015年11月12日

医療事故と対応、病院経営本部のICT化、未収金に切り込む!

◯両角委員 私からは、何点かにわたって質問させていただきたいと思いますが、さきに群馬大学の附属病院で腹腔鏡手術で八人の患者さんが亡くなっていたということで、世間が非常に驚いたわけでもございます。
 あるいは昨年の二月に、東京女子医大で二歳児のお子さんの手術の後に、そのお子さんが亡くなってしまったというようなことがございまして、要は、まず一点目に、こういった、いわゆる医療事故、あってはならないことですけれど、しかしながら、最善を尽くしても、あるいは何かの過誤でこういうことが起こってしまうこともあり得るということで、医療事故とその対応について、まずは伺いたいと思います。
 まず初めに、確認をさせていただきたいんですけれど、今、都立病院及び公社病院において、訴訟案件となっている事案というのがどれくらいあるのか、確認をさせていただきたいと思います。

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◯野瀬サービス推進部長 平成二十六年度に提起された医療関係訴訟の件数でございますが、都立病院が六件、公社病院はゼロとなってございます。

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◯両角委員 都立病院六件で、公社病院はありませんよということでありまして、これは所管の方にも伺ったんですけれど、中身については、どういう性質のものかということは、個人的な情報が含まれるということでお聞きできなかったんですけれど、訴訟があるということは何か争いが当然あるわけですから、患者さんサイドから、何ら、不服があるのかなということで伺ったわけでありますけれど、都立病院においては、もう、ここ十年以上にわたって重篤な死亡事故というのは起きていないわけであります。しかし、平成十一年に、不幸にして都立広尾病院で医療事故が起きているわけであります。
 このことを教訓にして、その後、都立病院あるいは公社病院では、どのような対策を講じて、その対策がいかなる効果を上げたのか伺いたいと思います。

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◯野瀬サービス推進部長 平成十一年に、都立広尾病院で起きた死亡事故を受け、都立病院では、インシデント・アクシデント・レポート制度の活用、医療事故予防マニュアルの整備や専任リスクマネジャーの配置などを行い、組織として医療安全対策に取り組んでまいりました。
 公社病院につきましても、都立病院に準じる形で医療安全対策に取り組んでおります。
 また、効果の点でございますが、副委員長ご指摘のとおり、広尾病院で起きた事故以降、明らかな過失による死亡事故は発生しておりません。

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◯両角委員 大変ショッキングな事故でありましたから、これをもとに報告書も出されておりますし、対策を、今おっしゃったようなことを組織として対応していると。結果として、それ以降、事故が起きていないということで、大変それはありがたいことだと思いますので、さらにそういう対策を徹底していっていただきたいと思いますが、今お話がございましたけれど、インシデント・アクシデント・レポートの活用というお話がございました。
 そこで、医療事故に至らないような事案であっても、インシデントやアクシデントの状況がどのようなものがあって、いかなる対策をとっているのか伺いたいと思います。

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◯野瀬サービス推進部長 平成二十六年度におけるインシデント・アクシデント・レポートの報告件数でございますが、都立病院では二万三千三百九十一件、公社病院では一万一千四百八十四件となっております。
 インシデント・アクシデント・レポートの主な事由でございますが、都立、公社病院とも薬剤、転倒、転落及び点滴等が抜けた事象でございました。
 都立病院及び公社病院におきましては、提出されたインシデント・アクシデント・レポートの検証、分析を、各病院に配置された専任リスクマネジャーが中心となって行い、再発防止策を講じております。

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◯両角委員 件数は、ふえたり減ったりということでありますけれど、こういったヒヤリ・ハットに対する日々の対応というのが重大な事故防止につながると思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。
 それで、こういった中で、昨年六月、医療法の改正が行われまして、この中で、医療事故調査制度というものが創設をされたわけであります。
 本年、つい先月、十月一日からこの制度がスタートしているわけでありますけれど、この制度については、例えば新聞、これは東京新聞でありますけれど、運用が非常に重要である、あるいはルールが曖昧である、医療機関みずからが調査主体となる点も課題が多いと、そのような指摘もなされているわけでありますけれど、この制度スタートに当たって、都立病院及び公社病院では、この医療事故調査制度への対応をどのようにとっているのか伺いたいと思います。

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◯野瀬サービス推進部長 都立病院におきましては、医療事故調査制度に適切に対応するため、平成二十七年九月に医療事故予防マニュアルを改定し、制度施行前に各病院への周知を図っております。
 公社病院におきましても、医療事故調査制度を踏まえたマニュアルの整備を鋭意進めているところでございます。

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◯両角委員 都立病院については、もうマニュアルを改定していると。百ページ以上の大変分厚いマニュアルで、各病院に周知を図っているというお話でございました。
 一方で、公社病院は、今のご答弁ですと、マニュアル整備を鋭意進めているというご答弁だったんですが、もともと十月一日から法改正を踏まえて、この制度はスタートをするということが決まっていたわけでありまして、ご答弁は結構でございますけれど、公社病院についても、この制度を公社全体でどんなふうに運用するかということを、合意をマニュアルなりの形にして、制度がスタートする十月一日には、そのことが周知をされているという状況が望ましいことではなかったかなというふうにも思いますので、そこら辺については、今、鋭意進めているということをスピードアップをして、この制度の対応をしっかりとしたものにしていただくように要望したいと思います。
 それで、この事故調査制度につきましては、いろんなことがいわれておりますけれど、曖昧さがあるということでございます。お医者さんサイドからすると、これが訴訟に使われてしまうんではないかということを恐れているということがある。まさにこの制度によって、お医者さんが萎縮をしてしまってもいけないだろうと思いますし、一方で、患者さんからすると、予期せぬ事故というのが、これは予期せぬ事故ではありませんよというくくりになれば、調査は必要ないということになってしまいますので、きちっと調査をしてくれるのかという、そういう不安もあるということであります。
 そこで、医療事故が万が一あった場合、この制度では、医療機関がまず院内調査をすると。で、遺族に調査結果を報告するということになっているわけでありますけれど、万が一、このような事故が起きた場合には、調査を誠実に実施することが医療機関としての信頼回復に不可欠だと思うわけであります。
 そこで、そのための調査の対象、まさに予期せぬ事故というのはどのように考えていけばいいのか。あるいは、調査委員会への第三者の参加。群馬大学の場合は、顧問弁護士の方が第三者として入られていたというような話も伺っておりますので、第三者、客観性がどこまで担保されていくのか。さらには具体的に、もし万が一、そういう事故が起こった場合に当然、改善策というのが示されますから、その改善策の実行を確認するそういった手だてについて、具体的にどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

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◯野瀬サービス推進部長 医療事故調査制度での調査対象でございますが、医療機関が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産であって、当該医療機関の管理者が当該死亡を予期しなかったものとされております。
 よって、都立病院及び公社病院におきましては、法令通知に基づき、管理者である各病院長が医療事故調査制度の対象であるか否かを適切に判断すべきものと考えております。
 医療事故調査制度の施行以前から、都立病院及び公社病院では、患者さんやご家族との信頼関係を構築するため、院内での調査を行い、誠意ある説明を行うことに努めてまいりました。
 ご質問の第三者の調査への参画についてでございますが、医療事故調査制度では、法令で義務とはされておりませんが、私たちの制度施行以前でございますが、客観性の担保に有用と病院が判断し、外部委員を入れた調査を行った事例がございまして、今後も必要に応じて、同様の対応を検討することとなると思われます。
 また、調査から得た再発防止策は、医療安全管理委員会や専任リスクマネジャーを中心とした活動などにより確認し、徹底を図ってまいります。

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◯両角委員 それでは、続きまして、都立病院における緊急搬送の受け入れということで伺いたいと思います。
 今、救急救命センターというのが、都内には二十六病院が指定をされているということでございますけれど、そのうちの三つの病院が都立の病院であるということであります。
 そこで、この都立病院の救急救命センターでの最近の緊急搬送の応需率はどのようになっているのか、伺います。

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◯高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 救命救急センターは、生命の危機を伴う重篤患者に対応する医療機関でございまして、都立病院では、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターに設置をしております。
 広尾病院におけます応需率は、平成二十五年度が九二・二%、平成二十六年度が九三・六%、墨東病院における応需率は、平成二十五年度が七〇・四%、平成二十六年度が七三・九%でございます。多摩総合医療センターにおける応需率は、平成二十五年度が八二・〇%、平成二十六年度が九六・〇%でございました。

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◯両角委員 今、ご答弁をいただきまして、数字を挙げていただきました。
 墨東病院の緊急搬送の応需率が、二十五年度については約七〇%、二十六年度は約七四%ということでございまして、他の二つの救急救命センターに比べて低いという形になっているんですが、この応需率が低い原因はどのようなことなのか、伺います。

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◯高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 応需率とは、最終的に当該救命救急センターで受け入れた年間救急搬送人員を消防機関からの電話による搬送受け入れ要請の年間件数で除した割合でございます。
 墨東病院は、区東部保健医療圏唯一の救命救急センターでございまして、近隣に救命救急センターがないという立地から、他の二つの都立病院、広尾病院、多摩総合医療センターの救命救急センターに比べ、搬送受け入れ要請件数が多く、結果として応需率が低くなっております。
 なお、墨東病院の救命救急センターが受け入れた救急搬送人数は、平成二十六年度で千九百六十四人でございまして、広尾病院、多摩総合医療センターの受け入れ人数を大幅に上回っております。

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◯両角委員 確かに救急救命センターの配置を図面上に落としたものを見ると、墨東病院というのは、墨田、江東、江戸川を所管する医療圏の中で、そこ一つだけという形です。
 今お話しのように千九百六十四人の救急搬送があって、ただ、結果として、その三割の方についてはお断りをしているという実態があるわけです。三割の方が墨東はちょっと受け入れられませんよということで、司令室にいっているわけです。そうすると、救急車は現場で待っていて、墨東はだめだと。じゃあ、次はどこが受け入れてくれるのかということで、病院を探すわけです。
 私は、この質問のやりとりの事前の調整をする中で、じゃあ、三割いらっしゃるけど、どうなのといったお話をしたときに、結果としてそこで受けられなかったけれど、他の救急救命センターなりにきちっと受け入れてもらっているということでありました。では、実際に救急車が現場に行って、墨東病院は三割ぐらいの断られている方は、そこから何分後に救急車が発車できて、何分後に救急車がその病院に行けたのかということをしっかり把握していなきゃ僕はいけないと思うんです。
 そうしないと、じゃあ、結果としてそれはどこかに行っているんだということであっても、例えばくも膜下みたいな、一分、何秒を争うような例でいえば、救急車が現場に行って、墨東病院に受け入れ依頼をしたけど断られた。ほかに当たったと──すぐ行って、すぐ入れたら問題ないです。しかし、そういった事例が、なかなか出発までに時間がかかった事例や、あるいは実際に救急救命センターまで行けたのに時間がかかったような事例が相当数あるというようなことが仮にあれば、それは、この救急救命センターの配置、医療資源の配置が多分アンバランスがあるとか、あるいは墨東病院にもう少しスタッフを厚くしなくてはいけないんだろうということになろうと思うんです。
 そのことを担当の課長さんにお話ししましたら、それは病院経営本部の話ではありませんと、福祉保健局の話ですと。先ほど、福祉保健局の方に、そこは裏をとった方がいいですよというお話をしたら、それは搬送の話で消防の話です。まさにこれじゃ、たらい回しなんですね。
 私は、ですからこの件については、福祉保健局の事務事業で確認をしたいと思いますが、ただやはり、都立病院の救急救命センターとして指定をされているところは、救急搬送を確実に受け入れられるような、そんな手だてをとっていくべきだと思いますけれど、その取り組みについて伺います。

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◯高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 救急患者の確実な受け入れは、各救急医療機関が役割に基づき最善を尽くすとともに、相互の連携と協力で成り立つものと考えております。
 都における救急医療体制は、入院を必要としない軽症患者に対する初期救急医療機関、入院を要する中等症患者に対する二次救急医療機関、生命の危機を伴う重篤患者に対応する三次救急医療機関、救命救急センターを基本に構成されており、三次救急は民間病院も含め、都内二十六カ所の救命救急センターが担っております。
 また、都では、救急隊の医療機関選定で搬送先が決定しない場合に、並行して、二次保健医療圏内の救急医療機関の連携により受け入れ先の調整を行う、救急医療の東京ルールを平成二十一年度に策定し、救急患者の迅速な受け入れを図っております。
 このような二次救急のシステムが三次救急の役割を支えておりまして、救命救急センターへの搬送を真に必要とする患者の確実な受け入れにつながっているというふうに考えております。

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◯両角委員 そうあってほしいわけですね。確実につながっているということでありますので、これは局間で連携をして、本当に確実につながっているのかということを、ぜひ、実態を確認していただきたいということを、この場でいってもしようがないんですけれど、そんなふうに思っております。
 次に、ICT化の推進ということで伺いたいと思いますが、事務事業の概要でも、病院経営本部の経営理念の一つとして、ITの活用を積極的に推進するということがうたわれているわけでありますけれど、都立病院、公社病院において、ICT化の進捗状況と効果を伺います。

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◯野瀬サービス推進部長 電子カルテシステムについてでございますが、平成十五年度の旧府中病院を皮切りに、順次導入を進め、本年度十一月の公社東部地域病院をもって、都立、公社全病院への導入を完了いたしました。
 システムの導入により、予約患者の診療待ち時間は一時間から二十分程度に、また、会計待ち時間についても、一時間から十五分程度と大きく改善されております。
 さらに、診療面については、レントゲンや心電図、血液検査などの検査結果が電子カルテ画面上に表示され、医師と患者さんが同じ画面を見ながら、検査結果について患者さんにわかりやすく説明することが可能となりました。
 また、医師や看護師が入力した電子カルテ上の情報を栄養部門や薬剤部門など、院内の他部門も速やかに共有できることにより、チーム医療の充実に寄与してございます。

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◯両角委員 効果についてご答弁いただきまして、待ち時間が一時間程度から二十分程度に大幅に削減と。会計についても、一時間から十五分程度と、まさに、こういったITを活用すると、患者さんについても、非常に待ち時間が少なくなったりできるわけです。
 あるいは、今、チーム医療が充実したというお話がございましたけれど、患者さんメリットが上がるような、いろんな医療の関係の職の方が一緒に情報共有して、物を動かせるということで、仕事の進め方も変わるということだと思います。
 ですから、ICTの導入については、効率ということがやはりいわれるわけですけれど、一つは、やっぱり医療の質の充実にどれだけつながるか、患者の負担軽減にどれだけつながるか、あるいは、さらには、業務の効率化がどれだけ図れるか、そういうことを常に意識していただきたいと思うんです。
 もちろん、ICT導入には莫大なお金もかかるわけですから、費用対効果ということをしっかり考えて、常にそういった数字を意識しながら、このICT化を推進していただきたいと、このように思います。
 そこで、今度、カルテなどの患者情報について伺いたいんですが、この患者情報については、他の医療機関と共有をすることで、患者に対するより適切な処置が可能になるのかなというふうにも思うわけでありますけれど、一方で、情報セキュリティー面でのリスクも伴うであろうと、このように考えます。
 そこで、都では、患者情報の共有化について、どのような見解をお持ちになっていて、取り組みをしているのか、伺います。

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◯野瀬サービス推進部長 現在、他の医療機関との患者情報の共有については、診療情報提供書や画像データなどが入力されたCD-ROMなどを用いております。電子カルテシステムを患者情報共有化のツールとして活用することは、技術的には可能でございます。ただし、電子カルテは個人情報を取り扱うため、情報管理に細心の注意を払い、セキュリティーの保全確保に万全を期す必要がございます。
 また、情報共有化のための設備を他の医療機関でも用意する必要があることや、ソフト面での標準化を図るなど、関係機関などとも調整が必要であると考えております。

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◯両角委員 ICT化を推進していくということは、先ほどお話ししましたように、仕事の質も上がっていくことが可能であるし、効率を上げることにもつながると思います。
 一方で、個人情報の漏えい、あるいは病院ネットワークへの外部からの攻撃にさらされるなどのリスクを伴うことでもあります。
 そこで伺いますけれど、これまでに個人情報の漏えいや病院ネットワークへの攻撃の実態というのはどのようなものがあったのか、伺います。あわせて、これらへの対応をどのようにとってきたのか、お聞きいたします。

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◯野瀬サービス推進部長 電子カルテシステムは、インターネットなど、外部との接続のない閉鎖されたシステムのため、直接的な情報漏えいや外部からの攻撃にさらされることはございませんが、万一に備え、ウイルス対策システムを導入し、セキュリティーについて万全を期しております。
 しかしながら、過去において、医療従事者がUSBメモリーを利用して、個人情報を紛失する事故が発生しており、都立、公社病院では、USBメモリーの使用を原則禁止としております。
 さらに、個人情報の管理や情報セキュリティー対策をより一層徹底するため、全職員を対象とした研修を初め、自己点検、本部職員による巡回点検、外部の専門機関によるセキュリティー点検などを継続的に実施しております。

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◯両角委員 ご答弁いただきまして、特に外部専門機関によるセキュリティー点検などは大変よいことだなというふうに思います。
 ただ、ICTの世界は技術進歩が日進月歩でありますから、そういった進歩にあわせて、対策もアップデートをしていただきたいと思いますし、特に、対策を完璧にしても、人が扱うということでありますから、悪意がある人が情報を持ち出したりしてしまったらどうしようもないということですから、システムも含めて、人に対する対策をしっかりやっていただくように要望したいと思います。
 最後になりますけれど、未収金の対策、他の委員の先生から先ほどご質問もありましたが、切り口が違いますので、このまま続けさせていただきたいと思います。
 ここ数年の都立病院の未収金を拝見させていただくと、毎年十億円から十一億円ということで推移をされております。その中で私債権の放棄額というのが、昨年度が約四千二百万円ということであります。
 まず、この未収金の発生の原因というのをしっかり分析することが大切なんではないかというふうに私は思いますが、未収金の発生の原因をどのように分析しているのか、伺います。

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◯野瀬サービス推進部長 診療費が未収金となる主な理由としては、持ち合わせがなく救急を受診した場合、死亡退院などで直ちに診療費の計算ができず、後日請求となった場合や、保険未加入の外国人の受診、交通事故による自賠責保険や労働者災害補償保険などの申請中のため、その場で直ちに診療費を請求できない場合などでございます。

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◯両角委員 幾つかの例を挙げていただきました。それぞれどのぐらいのボリュームがあるのかということを調べていただいて、その上で、それぞれに対して、例えばお金がない方には、どういう形をとればお金が回収しやすいのかとか、あるいは外国人の方に対しては、どういう周知をしていくといいのかとか、現状に応じた対策をとっていただくようにお願いしたいと思います。
 続いて、この未収金の回収なんですが、都立病院や公社病院という病院は、医療機関は全てそうですけれど、けがなり病気で来られた方を診療拒否というのは基本できませんから、そういう性質のものだと思います。
 しかしながら一方で、お金はしっかり払っていただいて、経営をしっかりしていくということももちろん大切なわけでありますが、そこで、都の未収金回収の基本方針というのがどのようなものか伺いたいと思います。
 さらに、あわせて、都立病院での直近三カ年の未収金の回収の実績というものをお示しいただきたいと思います。

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◯野瀬サービス推進部長 未収金については、病院の健全な経営と利用者の費用負担の公平性の観点から、適切な収納管理を行っております。
 具体的には、未収金が発生した場合の迅速な対応、回収可能性が高いものに優先順位を付すなどのめり張りのある回収、未収金回収に関する交渉経過記録の適正な管理などを行っております。
 また、現年度と過年度を合わせた未収金の回収額の実績でございますが、平成二十四年度は約二億九千万円、二十五年度は約三億二千万円、二十六年度は約三億八千万円となっております。

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◯両角委員 未収金回収対策というのは、今、七千五百万円余りの予算が組まれているわけでありますけれど、この中身と効果について伺いたいと思います。あわせて、かけただけのコストの回収効果ができていると評価をしているのか伺います。

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◯野瀬サービス推進部長 未収金対策の強化に関する平成二十七年度の予算額は、七千五百八十二万円でございました。その内訳は、非常勤職員の配置に関する経費として三千五百六十四万円、回収業務の委任や納付相談やその他法律相談に係る弁護士等の活用に関する経費として千八百八十七万円、個人未収金管理システムなどの運用に関する経費として二千百三十一万円となっております。
 先ほど答弁をさせていただきましたように、現年度と過年度分を合わせた未収金の回収額は、平成二十六年度が約三億八千万円となっております。
 また、未収金の発生額は、平成二十六年度が約三億三千万円であり、前年度と比較して三千六百万円、率にして約一〇%縮減しており、未収金対策の成果が出ていると考えております。

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◯両角委員 お話を伺っていますと、分割払いとかクレジットを導入したり、あるいは相談業務をきめ細かくやられていたりという状況もあるみたいですので、さらにきめ細かく、この問題も、東京都は未収金回収を余りしませんよという態度を見せてはいけないんだと思うんです。
 しかしながら、まさに、悪意の方と悪意じゃない方もいらっしゃると思いますので、そこら辺も柔軟に対応しながら、この対応をしていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。